建設業許可の業種を増やしたいです! どのように手続きをすればよいでしょうか?

建設業許可を新規で取得した際には持っていなかった、許可業種を新たに増やしたいという方はいらっしゃいませんでしょうか?

例えば、

  • 内装工事に建築一式工事を追加したい
  • 塗装工事にとび・土工・コンクリート工事を追加したい
  • とび・土工・コンクリート工事に舗装工事を追加したい
  • 電気工事に電気通信工事を追加したい

といったように、今持っている許可業種以外の業種を増やしたいといったニーズは結構あるように思います。

今回は、すでに、電気工事、管工事、電気通信工事の3つの建設業許可を持っている事業者さまから『「2級建築施工管理技士(仕上げ)」の資格を使って、建設業許可の種類を増やしたい』とのご依頼がありました。

そこで、このページでは、

  1. 建設業許可の業種を追加する方法
  2. 業種を追加する際の注意点
  3. 本件でどのように業種追加を行ったか?

の3点について実際の事例をもとに、これから業種を追加したいとお考えの皆さんに分かるように記載していきたいと思います。

建設業許可業種を追加したいとお考えの方、2級建築施工管理技士の資格を持っている方は、ぜひ、参考にしてみてください。

業種追加の申請実績

概要

会社所在地 東京都国立市
業種 大工工事ほか全12業種

相談内容

相談内容 平成29年2月に「電気工事」「管工事」「電気通信工事」の3つの建設業許可を取得した。

その後、「2級建築施工管理技士(仕上げ)」の資格を持っている社員を採用したので、上記の3つ以外に取得できる建設業許可をすべて取得したい。

建設業許可を取得した際の行政書士とは、疎遠になってしまったので、今回は、行政書士法人スマートサイドにお願いしたい。

申請内容

申請内容
  • 東京都建設業許可業種追加申請

弊所の対応とコメント

行政書士法人スマートサイドの対応

最初のお問合せの際に「2級建築施工管理技士(仕上げ)の資格者が社内にいる」とのことでしたので、業種を追加することは可能であると判断しました。

とはいうものの「はい。すぐに取得できます!」とならないところが、建設業許可取得の難しいところです。

まずは「2級建築施工管理技士(仕上げ)の資格者が、本当にその会社の社員として常勤しているのか?」といった確認、もっと簡単に言うと「名義貸しではないですよね?」といった確認が必要になります。

建設業許可を取得したいあまりに、名義貸しを行っている方はいませんよね。名義貸しは、バレないと思っているのかもしれませんが、必ずバレますので、この点については、健康保険証のコピーを事前にメールで送ってもらい慎重に確認しました。

続いて、過去の決算変更届や役員変更届の提出が漏れていると、申請書類を受付てくれないことがあります。そのため、事前に、変更届の提出漏れがないかも確認しました。案の定…という言い方はおかしいですが、過去の変更届の漏れがあったため、漏れている変更届の提出も含めて、業種追加申請を受任する運びとなりました。

建設業許可の業種を増やす方法

1.建設業許可の業種を追加する方法

今持っている建設業許可を増やすには、業種追加申請をする必要があります。では、業種を追加するにはどうすればよいのか?すでにご存じの方も多いかと思いますが、今一度、基本に立ち返って説明したいと思います。

(1)該当する業種の技術者がいること

業種追加をするには「増やしたい業種の専任技術者の要件を満たした人」がいなければなりません。業種を増やしたいからと言って、誰でも、簡単に、自由に、許可業種を増やせるわけではありません。

建設業許可の業種は全部で29業種ありますが、御社が増やしたい許可業種に合わせて、専任技術者がいなければなりません。

例えば、下記の表のように一級建築士の資格を持っている方がいれば、

  • 建築一式工事
  • 大工工事
  • 屋根工事
  • タイル工事
  • 鋼構造物工事
  • 内装工事

の6業種について、建設業許可の業種を追加することが可能になります。

業種追加できる国家資格の一例

【保有している国家資格】 【追加できる業種】
一級建築士 (建)(大)(屋)(タ)(鋼)(内)
一級建設機械施工技士 (土)(と)(舗)
管工事施工管理技士 (管)
第一種電気工事士 (電)

 

(2)国家資格を持っている人がいなければ

国家資格を持っている人がいなければ、実務経験を証明して専任技術者の要件をクリアするしか方法はありません。内装工事の専任技術者になりたいのであれば内装工事の、管工事の専任技術者になりたいのであれば管工事の実務経験を証明していくことになります。

なお、実務経験の証明期間は、下記の通りとなります。

【特殊な学科の卒業経歴】 【実務経験の証明年数】
高校 指定学科卒業+実務経験5年
大学・短期大学

高等専門学校

指定学科卒業+実務経験3年
専修学校 指定学科卒業+実務経験5年(専門士、高度専門士であれば3年)

 

(3)専任技術者が常勤していること

(1)の国家資格者や(2)の実務経験を証明できる技術者がいたとしても、御社に常勤している技術者でなければ、専任技術者の要件をクリアできず、業種追加をすることはできません。

専任技術者が御社に常勤しているか否かは、通常、健康保険証に記載のある事業所名で確認します。健康保険証に事業所名の記載がなければ、

  • 健康保険、厚生年金保険の標準報酬決定通知書
  • 住民税の特別徴収税額通知書
  • 確定申告書

などで、常勤性を証明しなければなりません。

冒頭に「建設業許可を取得したいあまりに、名義貸しを行っている方はいませんよね」と記載しましたが、上記のような資料の提出を求められるので、名義貸しなどの手段を使って、専任技術者が常勤しているかのように装い、建設業許可の業種を増やそうということはできませんので、注意をしてください。

2.業種を追加する際の注意点

「1.建設業許可の業種を追加する方法」で確認した専任技術者の要件を満たしている人がいたとしても、すぐに、業種追加申請をできるとは限りません。

(1)決算変更届を提出していること

まずは、決算変更届を提出していることが必要です。毎年必ず、決算変更届の提出が必要で、期日の到来している決算変更届の提出がされていない場合、業種追加申請をすることができません。

(2)その他の変更届を提出していること

その他の変更届として

  • 本店所在地の変更届
  • 取締役の変更届

なども注意をしたほうが良さそうです。例えば、新規に許可を取得した時と、許可業種を増やそうとする時とで、本店所在地が変わっているのに、本店所在地の変更届が出ていないと、業種追加申請を受け付けてくれない可能性が高いです。

また、取締役の変更についても、取締役の変更届が出てないことを理由に業種追加申請ができなかったという経験はありませんが、変更後30日以内の届出が必要である旨、手引きに記載がありますので、注意が必要です。

例えば、建設業許可を取得した時の取締役の構成が「Aさん、Bさん、Cさん」で、業種追加を申請する際の取締役の構成が「Aさん、Dさん、Eさん」だった場合。

「Bさん、Cさん→Dさん、Eさんへの変更届」が出ていないと、都庁の登録上は、「Bさん、Cさん」のままなのに、業種追加を申請する際の書類上は「Dさん、Eさん」になっているため、登録状況と申請状況が一致しません。

このような申請は受け付けられないか、至急変更届を提出するように指導を受ける可能性があり、業種追加できる時期が大幅に遅れることになります。

(3)本件では

本件では、はじめて建設業許可を新規で申請してから、一切の変更届を提出していませんでした。これはまずいです。

具体的には、業種追加申請の前に、決算変更届を3期分、提出しなければなりませんでした。また、取締役2名も変更があったため、取締役の変更届も先に提出しました。

『「出せ」と言われていない以上、変更届を出す必要がない』と勘違いされている方もいるようです。しかし、「言われたか否か」「指摘を受けたか否か」に関わらず、建設業許可業者である以上、提出しなければならないのが、「変更届」です。

本件では、決算変更届3期分、取締役変更届2名分を提出してから、業種追加申請を行うといった順番になりました。

3.本件でどのように業種追加を行ったか?

では、ご依頼から、具体的な流れについて説明させていただきます。

<1>技術者の合格証・健康保険証を確認

まずは、ご依頼いただいた際に、技術者の合格証健康保険証をメールで送ってもらうようにしました。

  • 本当に​2級建築施工管理技士(仕上げ)を持っているのか?
  • 技術者が会社に常勤しているのか?

という2点を確認するためです。

仮に、2級建築施工管理技士の資格を持っていなかった場合、業種追加をするには実務経験の証明が必要になります。また、技術者が会社に常勤していることが証明できなければ、社会保険に加入して頂くなどの手続きを経なければなりません。

本件では、いずれも、クリアできました。

<2>過去の変更届の漏れがないか確認

「2.業種を追加する際に注意する点」で書いたように、業種追加申請を行う前に、変更届の提出に漏れがないか確認をすることは必須です。

事業者さまに確認するのと同時に、都庁建設業課への確認登記簿謄本の確認を行いました。

決算変更届の提出漏れについては、比較的多く散見されますが、この事案のように取締役の変更届が漏れているといったケースは、稀です。このページをご覧の建設業許可業者さまがいれば、御社の変更届(決算変更届に限らず)がきちんともれなく、不備なく、提出されているか、今一度ご確認ください。

本件では、決算変更届3期分、取締役2名の変更届を先に提出しました。

<3>業種追加申請の準備

業種追加申請の際には、「取締役の住所、生年月日に関する調書」のほか「取締役の登記されていないことの証明書」「取締役の身分証明書」の提出が必要です。そのため<2>で取締役2名の変更届を提出してから、業種追加申請の準備を始めることにしました。

その他にも、健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入を証明する資料が必要です。なお、直近の決算で純資産が500万円未満の場合には、500万円以上の預金残高証明書が必要ですが、このお客様の場合、直近の決算で純資産が500万円を上回っていたので、預金残高証明書は必要ありませんでした。

なお、<1>で、2級建築施工管理技士の国家資格を持っている技術者が常勤していることは確認済みであったため、業種追加申請の準備自体は、比較的スムーズに済ませることができました。

<4>業種追加申請→無事許可取得

申請当日には「申請書+申請書の副本+手数料5万円」を都庁に持参し、無事、申請を受け付けてもらうことができました。

業種追加申請を行って許可業種を増やした申請実績

弊所では、本事案以外にも、業種の追加に成功した事案がたくさんあります。

  • 電気工事業に電気通信工事業を追加
  • 解体工事講習受講後に解体工事業を追加
  • 消防工事業に電気工事業を追加
  • 建築一式工事に全15業種を追加
  • 2級土木の資格を使って全6業種を追加
  • 電気工事に管工事を追加

など、さまざまな申請実績の一部を下記にリンクを貼っておきましたので、ぜひ参考にしてみてください。

本店所在地 内容

東京都

葛飾区

「電気科」の卒業証明書を使って、電気工事業に電気通信工事業を追加しました!!

(※↑クリックするとページが移動します)

本店所在地 内容

東京都

豊島区

1級土木の資格者に登録解体工事講習を受けて頂き、解体工事業の許可を業種追加しました!

(※↑クリックするとページが移動します)

本店所在地 内容

東京都

新宿区

消防施設工事に電気工事を業種追加しました!!

(※↑クリックするとページが移動します)

本店所在地 内容

東京都

新宿区

一級建築施工管理技士の資格を使って、建築一式工事に内装工事など全15業種を追加しました!!

(※↑クリックするとページが移動します)

本店所在地 内容

東京都

練馬区

二級土木施工管理技士の資格を使って、6業種も追加しました!!

(※↑クリックするとページが移動します)

本店所在地 内容

東京都

豊島区

実務経験(前の会社+今の会社)10年の証明に成功し、電気工事に管工事を追加しました!!

(※↑クリックするとページが移動します)

建設業許可の業種を増やしたいとお考えの皆様へ

冒頭にご紹介したお客様のケースでは、家資格を保有している方が会社に常勤しているとのことでしたので、当初は、比較的、スムーズに申請できると思っていました。

しかし、本文にも記載した通り

  • 決算変更届の提出漏れ
  • 役員変更届の提出漏れ

があり、当初思ったよりも時間がかかりました。これから業種追加の申請を検討している皆さんは、「決算変更届」や「役員の変更届」の提出漏れがないか確認してみるとよいでしょう。

また、「業種追加申請は、新規申請よりも簡単だ」と思っている方もいるかもしれませんが、

  • 国家資格者がいなければ実務経験の証明をしなければならないこと
  • 技術者の常勤性の証明に手こずる場合があること
  • 過去の申請書との整合性を取らなければならないこと
  • 変更届の提出漏れを確認しなければならないこと

といったように、気を付けなければならないことが多いので、決して「業種追加申請が、新規で建設業許可を取得するよりも簡単」なわけではありません。

もし皆さんの中で、建設業の許可業種を増やしたいけど

  • 申請の仕方がよくわからない
  • そもそも、増やすことができるのか?要件を満たすかが不明?
  • 自分でやる時間がないので、専門家にお任せしたい!
  • 時間がないので、プロに申請手続きを外注したい!

という人がいれば、ぜひ、行政書士法人スマートサイドにご連絡下さい。

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