- 知り合いに一級建築施工管理技士の資格を持っている人がいる
- 一級建築施工管理技士の資格を持っている人を採用した
- 一級建築施工管理技士の試験に合格した
という方は、いらっしゃいませんか?
「一級建築施工管理技士の資格を持っていると、建設業許可を取得しやすくなる」「二級の資格に比べて、より多くの建設業許可を取得することができる」といった、漠然としたイメージがあるかもしれません。一級の資格があるということは、特定建設業許可取得の可能性も見えてきます。
ただ、具体的に「どの業種の建設業許可を取得することができるのか?」について、ご存知の方は、多くないように思います。
そこで、今回は、すでに建築一式工事の特定建設業許可をお持ちの事業者さまが、一級建築施工管理技士の資格を使って、全16の業種の特定建設業許可を追加することに成功した事例をご紹介するとともに、特定建設業許可を取得するための手続きと注意点について解説させていただきます。
1級建築施工管理技士の資格で
『特定』建設業許可を取得したいという相談の概要
概要
会社所在地 | 東京都新宿区 |
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業種 | 東京都知事特定建設業・建築一式工事 |
相談内容
相談内容 | 建築一式の許可を持っているが、建築一式工事以外の専門工事でも、金額の大きい工事を施工できるように特定建設業許可を取得したい。
一級の建築施工管理技士の資格者がいるが、どのような工事の特定建設業許可を追加で取得することができるか? |
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申請内容
申請内容 | 建設業許可・業種追加申請 |
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行政書士法人スマートサイドの対応
すでに何らかの建設業許可を持っている会社が、建設業許可業種を増やすための手続きを、業種追加申請と言います。
このお客様の場合も、すでに建築一式の特定建設業許可をお持ちであるとのことなので、建築一式工事の建設業許可に、新たに許可業種を増やす(追加する)には、業種追加申請を行う必要がありました。
業種追加申請を行うには、過去の申請書類や届出状況を確認する必要があります。そのため、まずは、副本一式をお預かりしました。
そのうえで、一級建築施工管理技士の資格を持っている方の常勤性が確認できたので、一級建築施工管理技士の資格を使って、追加できる業種はすべて追加するという方針のもと、受任するに至りました。
なお、申請までの手順と手続きの内容は以下の通りです。
【手順】 | 【手続きの内容】 | ||
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手順1 | 過去の申請書類や届出書の中身を確認し、業種追加申請を行うために必要な情報を精査する | ||
手順2 | 一級建築施工管理技士の資格を持っている方の申請会社への常勤性を確認する | ||
手順3 | 業種追加申請をするために必要な書類の作成や、法定書類(身分証明書など)の収集を行う | ||
手順4 | 東京都庁に業種追加申請をしに行く。業種追加申請の手数料5万円も持参する。 | ||
手順5 | 無事、審査が完了すると1か月程度で、新たに追加した業種の許可通知書が届く。これにて手続き完了。 |
1級建築施工管理技士の資格で特定許可を取る手続きの解説
許可の種類×常勤性の確認×財産的要件の確認
それでは、実際にどのような手続きを経て「一級建築施工管理技士」の資格を使って、15もの特定建設業許可を追加することに成功したのでしょうか?
一級建築施工管理技士の資格を使って取得できる建設業許可の種類
まず、一級建築施工管理技士の資格者がいると取得できる建設業許可業種は、以下の通りです。とても多くの建設業許可を取得することができます。
- 建築一式工事業
- 大工工事業
- 左官工事業
- とび・土工・コンクリート工事業
- 石工事業
- 屋根工事業
- タイル工事業
- 鋼構造物工事業
- 鉄筋工事業
- 板金工事業
- ガラス工事業
- 塗装工事業
- 防水工事業
- 内装工事業
- 熱絶縁工事業
- 建具工事業
- 解体工事業
もし、御社に一級建築施工管理技士の資格者がいるのであれば、取れる許可はすべて取っておくことをお勧めします。
以下、少し細かくなってしまいますが…
(建築一式工事と各種専門工事との違い)
例えば、建築一式工事業の許可しか持っていない場合、1500万円以上の建築一式工事を請負うことはできますが、500万円以上の内装工事や塗装工事を請負うことはできません。
「建築一式工事の許可を持っているのだから、それ以外の工事もできるのだろう」と勘違いをしている方も多いのですが、建築一式工事の許可を持っていても、各種専門工事の許可を持っていなければ、各種専門工事の500万円以上の工事を施工することはできません。
(建築一式工事の具体例)
また、東京都の場合、「建築一式工事」は、あくまでも「元請業者の立場で総合的な企画、指導、調整の下に建築物を建設する工事であり、複数の下請業者によって施工される大規模かつ複雑な工事」を言います。具体的には、「建築確認を必要とする新築及び増改築」に限られます。
建築確認を必要としないリフォームや改築は、建築一式工事ではなく、内装工事に該当すると考えられます。この場合、やはり建築一式工事の許可だけでなく、内装工事の許可を持っていないと、500万円以上の工事はできませんね。「大規模改修だから、建築一式工事の許可を持っていればいいだろう」と思っていたら、「実は、内装工事の許可が必要だった」ということになりかねないのです。
建築一式工事と各種専門工事との違いや、建築一式工事の具体例といった細かい点について解説しましたが、皆さんは、一級建築施工管理技士の資格がある以上、全17業種で特定建設業許可を取るべきだというように覚えておいてください!
一級建築施工管理技士の常勤性の確認資料
今回ご相談のあったお客様のように「業種追加申請」を行うには、一級建築施工管理技士の方が、会社に常勤していなければなりません。「会社に常勤していない」または、「他の会社の常勤社員である」といった名義貸しを防止するために、下記のような常勤性の確認資料が必要になります。
- 住民票(※運用が変わり住民票の提出は不要になりました)
- 健康保険被保険者証のコピー(事業所名が入っていること)
まれに、健康保険被保険者証に事業所名が入っていない場合がありますが、その場合には、「健康保険・厚生年金保険被保険者標準報酬決定通知書」が必要になります。常勤性の確認資料については、くれぐれも注意してください。
特定建設業許可の財産的要件の確認
特定建設業許可を取得するには、直近の確定した決算の財務諸表で
- 欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
- 流動比率が75%以上であること
- 資本金が2000万円以上であること
- 自己資本が4000万円以上あること
の4つの財産的要件も必要になります。この4つの財産的要件を満たしていないと、仮に一級建築施工管理技士が会社に常勤していたとしても、特定建設業許可を取得することができません。
建築一式工事に内装工事など全16業種を追加することに成功しました
今回の案件では、
- 決算変更届などの各種変更届が、漏れなく不備なく提出されていたこと
- 直近の確定した決算で特定建設業許可に必要な4つの財産的要件を具備できていたこと
- 一級建築施工管理技士の技術者が、会社に常勤していることを無事に証明できたこと
などから、一級建築施工管理技士の資格を使って、全部で16業種の特定建設業許可を業種追加することができました。
1級建築施工管理技士の資格で建設業許可取得をお考えの方
一級建築施工管理技士の資格を持っていると、下記、全17業種の建設業許可を取得することが可能になります。
建築工事 | 大工工事 | 左官工事 |
とび・土工工事 | 石工事 | 屋根工事 |
タイル工事 | 鋼構造物工事 | 鉄筋工事 |
板金工事 | ガラス工事 | 塗装工事 |
防水工事 | 内装工事 | 熱絶縁工事 |
建具工事 | 解体工事 | 【全17業種】 |
しかも、そのすべてにおいて『特定建設業許可』を取得することができます。
このように一級建築施工管理技士の資格を持っているということは、それだけで、建設業許可の取得が有利になるというのにとどまらず、特定建設業許可を取得することができる、とても価値の高い資格であるということができます。
もっともだからと言って、簡単に建設業許可を取得できるわけではありません。集めなければならない書類や、踏まなければならない手続きが減るわけではありませんし、特定建設業許可を取得するともなると財産的要件の確認が厳しくなります。
やはり、専門家のサポートが必要になるのではないでしょうか?
一級建築施工管理技士の資格を使って、建設業許可もしくは特定建設業許可を取得したいという人がいれば、ぜひ、行政書士法人スマートサイドまでご連絡下さい。
皆様からのご連絡を心よりお待ちしております。