電気通信工事業の建設業許可取得~高校の電気科(指定学科)の卒業資格を活用した事例~


このページでは、高校の電気科の卒業資格(卒業証明書)を使って、電気通信工事業の建設業許可を取得した実際の事例をもとに、電気通信工事業の実務経験の証明の仕方について、解説していきます。


「何十年も付き合いのある取引先から、突然『電気通信工事業の許可を取ってください』といわれた…」「今までは、『電気工事の許可』だけで、何も言われなかったのに…」という相談です。

このように『突然、〇〇工事の許可を取ってほしい』と催促されるようなことはよくあると聞きます。この記事を読んでいる御社も、「〇〇工事業の許可だけでなく、□□工事業の許可も持ってほしい」といわれる日が来るかもしれません。

発注者ないしは元請側のコンプライアンス意識の高まりによって、「今まではよかったのだけど、これからは建設業許可を持ってなければ困る…」といったような遵法精神(なるべくグレーなことはやりたくないといった認識)が高まってきているからでしょう。

今回は、弊所が実際に申請した電気工事業の許可に電気通信工事業の許可を追加した事案をご紹介させて頂きます。

相談内容:電気工事に電気通信工事を追加できるか?

会社概要

会社所在地 東京都葛飾区
業種 電気通信工事業

相談内容

相談内容 取引先から「突然、電気通信工事の許可を取得してください」と言われて困ってしまっている。今までは、『電気工事業の許可』だけで何も言われなかったのに…電気通信工事の許可を取得することはできますか?

申請内容

申請内容 ・建設業許可業種追加申請(電気通信工事)

行政書士法人スマートサイドの対応

「突然、電気通信工事業の許可を取得してください」と言われて、困っているようでした。まず初めに、いつも決算変更届を提出してくださっている顧問先の税理士さんに相談したようです。その次に、土建組合の方に相談したようです。

しかし、税理士さんも土建組合の方も、「電気通信工事業の許可をとれるか否か?」「取れるとして、どのような流れになるのか?」「実際にどのような書類を準備すればよいのか?」までは、分からなかったようです。

今持っている建設業の許可業種に、新たに許可業種を追加する申請(手続き)を「業種追加申請」といいますが、新規許可申請に準じて難しい申請になります。何回も経験していないと厳しいかもしれませんね。そういった意味では、税理士さんや土建組合の方には手に負えない案件であるといえます。

これでは埒が明かないということで、インターネットを検索し、弊所のホームページにたどり着いたとの事でした。

初回面談・打ち合わせを行ったところ、「どうして『電気工事』ではなく『電気通信工事』の許可が必要なのか」「なんでいまさら『電気通信工事』の許可が必要なのか」について、腑に落ちない様子でした。確かに、相手が大手だからといって、「突然、電気通信工事の許可を持ってください」といわれても、「今までは、電気工事の許可だけでよかったではないですか!」と言い返したくなる気持ちもわかります。

しかし、冒頭にも記載したように、コンプライアンス意識の高まりによって、「今まではよかったのだけど、これからは許可を持ってなければ困る…」といったような遵法精神(なるべくグレーなことはやりたくないといった認識)が発注者や元請事業者の間で、高まってきているのではないでしょうか?

お問い合わせいただいた事業者さまは、会社が設立してから40年以上、建設業許可(電気工事業の許可)を取得してから30年以上経過しており、経営業務管理責任者の要件は、問題ありませんでした。実際に、電気通信工事も行っているようでしたので、あとは、実務経験を証明していくだけです。

ということで、弊所で受任する運びとなりました。

高校電気科の卒業資格で電気通信工事業の許可を取得する方法

電気工事業と電気通信工事業

電気工事も電気通信工事も、どちらか一方を独立して行うというより、「電気設備の設置(電気工事)とともに電気通信設備の工事(電気通信工事)を行う」というように密接・不可分の関係にあることが多く、「電気工事」「電気通信」とを明確に区別するのは難しいのが現状のようです。

そのため、できるなら「電気工事」と「電気通信工事」の両方を取得したいという方が多くいらっしゃいます。念のため、東京都の手引きにある「電気工事」と「電気通信工事」を以下に記載します。

種類 内容 例示
電気工事 発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事 発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変電設備工事、構内電気設備工事、照明設備工事、電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事
電気通信工事 有線電気通信設備、無線電気通信設備、放送機械設備、データ通信設備等の電気通信設備を設置する工事 電気通信線路設備工事、電気通信機械設置工事、放送機械設置工事、空中線設備工事、データ通信設備工事、情報制御設備工事、TV電波障害防除設備工事

電気通信工事業の実務経験の証明

前述した通り、この会社は、建設業許可(電気工事)を取得して30年以上経過しており、その間、取締役も継続して就任しているので、経営業務管理責任者の要件は問題ありません。

本件で、電気通信工事業の許可を追加するにあたって、大事なのは、電気通信工事の実務経験の証明です。

本件では、社長が「電気科」の高校を卒業していたため、実務経験の証明は10年ではなく、5年に短縮されます。そこで、ひと月あたり1件のペースで5年分以上=60件以上の『電気通信工事』の請求書と通帳の入金記録(原本)を用意して頂く必要があります。

ここで、注意して頂きたいのは、

  • 『電気通信工事』であることが明確にわかる請求書
  • 上記請求書に対する入金であることがわかる入金記録(原本)

という2点です。

「電気通信工事」であることが明確にわかる請求書

まず、電気通信工事の実務経験を証明するわけですから、電気通信工事を請負っていることがわかる請求書でなければなりません。

内装工事や電気工事に関する請求書では、電気通信工事に該当しません。また、「保守・点検・整備」に関する請求書では、そもそも「工事」に該当しません。このような請求書をいくら準備しても、5年分=60件以上の件数にカウントされないので注意しましょう。

請求に対する入金であることが分かる入金記録(原本)

次に、上記の「電気通信工事」の請求に対する入金であることがわかる入金記録(原本)を準備する必要があります。入金記録とは、預金通帳が通常ですが、預金通帳を紛失されたような場合には、金融機関から発行される「取引推移明細書」でも構いません。いずれも原本が必要になります。

請求書と通帳は、1件ずつ、チェックを行います。例えば、『〇月〇日にA社に300万円』を請求しているのに、それに対応する入金が『100万円』しかなかったら、請求金額と入金額の整合性が取れませんね。

また『□月□日にBさんに150万円』を請求しているのに、それに対する入金が『Y社から150万円』振り込まれていたのでは、これも整合性が取れません。

都庁に申請する際には、ひと月1件のペースで、「工事内容」「金額」「請求先」を請求書と通帳の両方でチェックされます。本件においては、実際に「電気通信工事」を行っていたので、請求書+通帳については、特に問題がありませんでした。

決算変更届の「その他工事」の金額の確認

業種追加するときに気を付けて頂きたいのは、毎事業年度終了後提出している「決算変更届」の「直前3年の各事業年度における工事施工金額」の中にある「その他の建設工事の施工金額」です。

例えば、年間工事売上高が1億円で、その売上高の全額を電気工事の売上高として計上していた場合。その年の電気通信工事(許可を取得している工事以外の施工金額のため「その他の建設工事の施工金額」といいます)は、0円です。つまり、その1年間は電気通信工事の実績は「なし」ということになります。

でもこれは、明らかにおかしいです。

これから電気通信工事の過去の実務経験を(請求書と通帳で)証明しようとしているのに、決算変更届の記載には、電気通信工事の実績が0「なし」となっている。これでは、これからする申請と今まで行ってきた届出との間に不一致が生じてしまいます。

そこで、弊所では、過去5年分の決算変更届を修正(「変更届出書(別紙8)の訂正について」という書類を提出)し、過去に提出した決算変更届の金額と、これから行う業種追加申請の金額との不一致を解消する手続きをいたしました。

無事、電気通信工事業の許可を取得

今回、通帳と請求書は70か月分以上、準備をして頂きました。事業者さまにとっては、相当の苦労であったと思います。また、都庁に申請した際には、70か月分すべての入金記録(原本)をチェックされました。

事業者さまの努力の甲斐もあり、無事、電気通信工事の許可を取得することができました。

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