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<<機械器具設置工事の専任技術者の変更>> | |||
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前任者 (変更前) |
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後任者 (変更後) |
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建設業に限らず、日本社会全体の高齢化に伴い、次世代への事業承継や若手世代へのバトンタッチが、会社の生き残りのための最大の課題となっています。
特に建設業の場合「経営業務管理責任者(常勤役員等)」「専任技術者」といった人的要件を満たさないと、建設業許可の取得はもちろんのこと、一度取得した建設業許可を維持することができません。
どんなに、「若い世代に譲りたい」「仕事を後任に任せたい」と思ったとしても、後任の人が「経営業務管理責任者」「専任技術者」としての要件を満たしていなければ、建設業許可を維持することはできず、許可を取り下げなければ(廃業届を提出しなければ)なりません。
いままで、建設業許可があったからこそ、500万円以上の工事を受注できていたわけですが、専任技術者の高齢化、定年、病気に伴う退職などの理由で、許可取り下げ=500万円以上の工事の受注ができなくなったとしたら、会社存続の危機といっても過言ではありません。
決して、このページをご覧のみなさんにとっても他人ごとではないはずです。
そんななか、今回の事例では「テレビ電気科」の卒業経歴を使って、機械器具設置工事の専任技術者を70代後半の後期高齢者から、50代の代表取締役に変更した事例をご紹介させて頂きます。
「テレビ電気科の卒業経歴が、機械器具設置工事の指定学科に該当するか?」都庁建設業課に照会をかけ、専任技術者の変更に成功したという、特殊な事例ですので、専任技術者の変更・交代でお困りの方は、ぜひ、参考にしてみてください。
会社所在地 | 東京都墨田区 |
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業種 | 機械器具設置工事・管工事・電気工事 |
相談内容 | 現在の機械器具設置工事の専任技術者が70代後半の後期高齢者である。高齢であるため、病気やケガがあっては大変なので、できれば社長に変更したいと考えている。 ほかの事務所に相談してみたが「実務経験の年数を満たさないので、あと数年経たないと、変更することができません」と断られた。 機械器具設置工事は、弊社の主な業務で、万が一のことがあっては、取り返しのつかないことになってしまう。なんとか、現・専技が元気なうちに、代表への専技変更を成し遂げたい。 |
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申請内容 |
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「機械器具設置工事」「管工事」「電気工事」の3つの建設業許可を持っている事業者さまからのご依頼です。会社設立直後に建設業許可を取得し、20年以上の業歴がありました。
ご相談内容にある通り「機械器具設置工事」の専任技術者が、ご高齢のようで、なるべく早い段階での変更を希望されていました。
そこで、まずは、機械器具設置工事の実績があるか否かを確認するために、過去の決算書類を拝見したところ、機械器具設置工事の完成工事高が全体の50%を超えていました。
仮に、売上のほとんどが「管工事」「電気工事」ということであれば、最悪「機械器具設置工事」は取下げ(廃業)という選択肢もありえたのですが、「機械器具設置工事」の完成工事高が全体の50~60%を超えていました。そのため、なんとしても、専任技術者の変更(交代)を成功させなければ、会社の存続自体が危ぶまれます。ましてや、現・専技が70代後半とご高齢のため、何年も待っている余裕はありません。
そこで、弊所では、
の2点を検討し、どちらかの方法で「70代後半の現・専技」から「50代社長」への専任技術者の変更を試みることにしました。
まずは、社長(新・専技)の10年の実務経験を証明できないか?検討をしてみました。
この会社が、機械器具設置工事の建設業許可を取得したのは、平成25年8月です。現在は、令和4年10月ですので、機械器具設置工事を取得してから、まだ、9年しか経過していません。
そのため、社長(新・専技)の10年の実務経験を証明して、専任技術者の交代を行うことは難しそうです。
この場合「許可を取得してから10年後の令和5年8月まで待つか?」もしくは、「平成25年8月以前の機械器具設置工事の実務経験を証明するか?」の2つの方法が考えられます、しかし、前者は「そこまで待っている時間はない」、後者は「過去の工事実績の証明は難しい」といった理由で、10年の実務経験の証明は、できなくはないけど、困難を極めるといった状況です。
機械器具設置工事の建設業許可を取得(正確には、電気工事と管工事に業種追加)したのは、平成25年10月です。現在の社長は、その当時から社長として、会社に常勤していましたから、令和5年10月を迎えれば、機械器具設置工事の建設業許可を取得してから10年が経過し、10年の実務経験を認められることになりそうです。
しかし、これでは、現時点(令和4年10月)から、1年以上待たなければなりません。
お客様のご希望としては、すこしでも早く、現・専技(70代後半)が元気なうちに、社長への変更を希望しているわけですから、「あと1年待ってください」というのでは、お客様の希望を叶えることができません。
現時点から1年待つことができないのであれば、過去にさかのぼって、機械器具設置工事の実務経験を証明するという方法も考えられます。この会社の場合、機械器具設置工事の建設業許可を取得したのが、平成25年8月ですから、平成25年8月から1年程度遡って、平成24年当時の機械器具設置工事の実務経験を証明できれば、現時点(令和4年10月)までの10年間の実務経験を証明できることになります。
しかし、そもそも、機械器具設置工事の建設業許可を取得したのが、平成25年8月なのですから、平成25年8月以前は、機械器具設置工事を行っていない可能性があります。
また、仮に、平成25年8月以前に機械器具設置工事を行っていたとしても、その当時の「契約書」「注文書・請書」「請求書・通帳」が残っていなければ、実務経験の証明をすることができません。
以上の経緯から、10年の実務経験を証明して、機械器具設置工事の専任技術者の変更を行うことは得策ではないと判断しました。
【方法】 | 【デメリット】 | ||
---|---|---|---|
方法1 | 1年後まで待てない | ||
方法2 | 過去にさかのぼって工事実績を証明するのが困難である |
前述の通り10年の実務経験を証明して、専任技術者を変更することは得策ではないと考えた弊所は、続いて、社長の「テレビ電気科」という専門学校の卒業経歴を利用して、10年の実務経験を5年に短縮できないか?を検討しました。
ご存知ない方のために、説明しておきますと、専任技術者の実務経験の証明期間は、以下の表のようになっています。
【資格の有無】 | 【経験証明年数】 | ||
---|---|---|---|
国家資格あり | 原則として、実務経験の証明は不要 | ||
国家資格なし (指定学科の卒業経歴なし) | 原則として、10年の実務経験の証明が必要 | ||
国家資格なし (指定学科の卒業経歴あり) | 3~5年の実務経験の証明が必要 |
基本的には、国家資格(施工管理技士など)があれば、実務経験の証明は不要です(一部「電気工事」など、免許取得後、一定期間の実務経験の証明が必要なケースもあります)。
一方で、国家資格を保有していない場合、10年の実務経験を証明しなければ、専任技術者になることはできません。しかし、その例外として、仮に国家資格を保有していなくても、「指定学科(建築科や土木科など工事に関する特別な学科)」を卒業している経歴があると、10年の実務経験の証明が3~5年に短縮されます。
学校名 | 学科・専攻 | 証明が必要な実務経験年数 |
---|---|---|
高等学校 | 全日制、定時制、通信制、専攻科、別科 | 指定学科卒業+実務経験5年 |
中等教育学校 | 平成10年に学校教育法の改正により創設された中高一貫教育の学校 | |
大学、短期大学 | 学部、専攻科、別科 | 指定学科卒業+実務経験3年 |
高等専門学校 | 学科、専攻科 | |
専修学校 | 専門過程、学科 | 指定学科卒業+実務経験5年 (専門士、高度専門士であれば3年) |
指定学科に該当すれば、機械器具設置工事の実務経験の証明年数が短縮されるというのであれば、機械器具設置工事の指定学科には、どのような学科が該当するのでしょうか?この点については、手引きなどを参考に1つ1つ確認していくしか方法がありません。
参考までに、手引きの記載を引用しますと、以下の表の通りになります。
建築学 | |||
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環境計画科 | 建築科 | 建築システム科 | 建築設備科 |
建築第二科 | 住居科 | 住居デザイン科 | 造形科 |
電気工学 | |||
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応用電子科 | システム科 | 情報科 | 情報電子科 |
制御科 | 通信科 | 電気科 | 電気技術科 |
電気工学第二科 | 電気情報科 | 電気設備科 | 電気通信科 |
電気電子科 | 電気・電子科 | 電気電子システム科 | 電気電子情報科 |
電子応用科 | 電子科 | 電子技術科 | 電子工業科 |
電子システム科 | 電子情報科 | 電子情報システム科 | 電子通信科 |
電子電気科 | 電波通信科 | 電力科 | ー |
機械工学 | |||
---|---|---|---|
エネルギー機械科 | 応用機械科 | 機械科 | 機械技術科 |
機械工学第二科 | 機械航空科 | 機械工作科 | 機械システム科 |
機械情報科 | 機械情報システム科 | 機械精密システム科 | 機械設計科 |
機械電気科 | 建設機械科 | 航空宇宙科 | 航空宇宙システム科 |
航空科 | 交通機械科 | 産業機械科 | 自動車科 |
自動車工業科 | 生産機械科 | 精密科 | 精密機械科 |
船舶科 | 船舶海洋科 | 船舶海洋システム科 | 造船科 |
電子機械科 | 電子制御機械科 | 動力機械科 | 農業機械科 |
この事案でも、新しい専技になるべく社長の専門学校の卒業学科が、上記いずれかの指定学科に該当するのであれば、実務経験の証明期間は10年から5年に短縮されます。
しかし、社長の卒業学科は「テレビ電気科」という学科です。「テレビ電気科」という学科は、上記の一覧表のどこにもありません。この場合、機械器具設置工事の指定学科に該当しないとして、あきらめざるを得ないのでしょうか?
結論から言うと、上記の一覧に該当がなかったとしても、あきらめるのは早いです。ケースによっては、一覧に該当がなかったとしても、指定学科として実務経験の証明期間の短縮が認められるケースがあるからです。
そのため、仮に、上記の一覧に該当がなかったとしても
など、できる範囲の記録を卒業した学校から取り寄せて、都庁建設業課に「指定学科に該当しないか?」といった照会を掛けるようにしています。
今回の件では、社長に、卒業した専門学校から「卒業証明書」と「成績証明書」を取り寄せてもらい、弊所にて、都庁建設業課に照会を行いました。
そして、照会を行ってから2週間程度経過してから、都庁より、「テレビ電気科」は「機械器具設置工事の指定学科に該当する」旨の回答を得ることができました。
社長の「専門学校のテレビ電気科」という卒業経歴が、機械器具設置工事の指定学科に該当するということであれば、10年の実務経験を証明する必要はなく、5年の実務経験を証明すれば足りることになります。
この会社が機械器具設置工事の建設業許可を取得したのは、平成25年8月ですから、平成30年8月には、専任技術者になるための実務経験を積んでおり、要件を満たしていたということになります。
本件では、上記のように社長の機械器具設置工事の5年間の実務経験を証明し、70代後半(後期高齢者)の現専任技術者から50代社長への専任技術者の変更を無事完了させることができました。
このページでは、
という順番で記載していきましたが、実際には、両方を同時並行で進め、どちらの方が
ということを勘案しながら、業務を進めていきました。
このお客様は、以前、相談した行政書士には「1年以上待たなければならない」といったことを言われたそうです。確かに、原理原則論で表面的に考えれば、「1年以上待つ」という方法が最適解のように思えます。
しかし、ここまで読んだ皆さんにはもう、お分かりですね。
現在の専任技術者が70代後半であり、不測の事態に備えるために、少しでも早く、専任技術者の変更を行いたいというのがお客様のご要望なわけですから、それに応えるようにしなければなりません。
それには、
といったことについて、検討し、考えを巡らせなければなりません。残念ながら、お客様が以前、ご相談した行政書士には、上記のような視点がなかったようです。
このように建設業許可に関する届出や申請は、誰がやっても同じではありません。知識や経験や過去の実績といった行政書士事務所の力量がものを言う世界です。
もし、皆さんの中でも、専任技術者の変更について、お困りの方がいれば、ぜひ、下記問い合わせフォームからお問合せ頂ければと思います。
【この記事の監修・執筆責任者】 東京都行政書士会:文京支部所属(行政書士登録番号:14081073) 行政書士法人スマートサイド:代表:横内賢郎/出版実績一覧はこちら 「技術職員100名以上」「年間売上100億円超」「全国展開している大臣許可業者」など大規模事業者の申請手続きも、得意としている事務所です。 |
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