(チェックポイント)
✅ 執行役員でも経営業務管理責任者になれる可能性あり
✅ 取締役会設置会社であるかいなかが、重要
✅ 成功事例多数の専門家による事前確認が必須
建設業許可を取得する際の重要な人的要件として「経営業務管理責任者(経管)」と「専任技術者」の2つの要件が必要であることをご存知の方は多いと思います。
そして「経管」になるには
- 申請会社の常勤の取締役であること
- 取締役(もしくは個人事業主)としての経験が5年以上あること
- 上記の5年間、建設業をおこなっていたこと
の3つの条件を満たさなければなりません。このあたりの基本的な知識については、すでにネット上にもたくさんあふれています。それでは、「取締役」ではなく「執行役員」を経管として建設業許可を取得することができるのでしょうか?
役職 | 登記簿謄本 |
---|---|
取締役 | 記載あり |
執行役員 | 記載なし |
取締役と執行役員の一番大きな違いは、会社の登記簿謄本に「氏名」「就退任日」が記載されるか否かの点です。取締役については、登記簿謄本に記載されるものの、執行役員については、登記簿謄本に記載されません。そのため、従来は、経営業務管理責任者になるには、申請会社の「取締役」であることが必須でした。しかし、令和2年の建設業法の改正以降、取締役登記されていない執行役員を経営業務管理責任者にして建設業許可を取得するという方法が、徐々に認められる傾向にあります。
【相談】執行役員を経営業務管理責任者にして許可を取得したい
(執行役員を経管にしたい理由)
■ 外部の人間を取締役に登用することが難しい
■ 株主からの取締役就任に対する反対意見がある
■ 株主総会を待てないので、執行役員として許可を取得したい
会社所在地 | 東京都港区 |
---|---|
相談者 | 金子さん(仮名)60代・男性 |
役職 | 常務取締役 |
建設業許可を取りたいのです。が、しかし、うちの会社には、経管の要件を満たす人がだれもいません。いままで「建設業」や「工事の請負」をしてこなかったので、会社内にいわゆる「建設会社の取締役としての経験が5年以上ある人」という経管の要件を満たす人はいないんです。
どうしようもないので、協力会社に尋ねたところ、協力会社の社員であるXさんが、過去に建設会社を経営していて、Xさん自ら「経管(代表取締役)」として建設業許可を持っていたらしいのです。そこで、そのXさんを会社に招き入れる形で、建設業許可の取得を検討しています。
ただ、ここからが問題なのです。Xさんを「取締役」として会社に招き入れれば、すんなり行くのでしょうが、うちの会社には、すでに取締役が5人いますので、これ以上、取締役の人数を増やすのはいかがなものかと思います。現実的にも、「建設業許可を取得するためだけにXさんを取締役に就任させる」ということに否定的な意見が、社内にないわけではありません。また、取締役を選任するには株主総会を開かなければなりませんが、今年の株主総会は、ついこの間終わったばかりで、次回の株主総会が開催される来年まで待つことはできません。
近年の建設業法の改正により、「経営業務管理責任者」の要件が緩和され、建設業許可を取得しやすくなったと聞いています。そこで、建設業許可取得の専門家である行政書士法人スマートサイドさんにご相談です。
Xさんは、
- 過去に建設会社を経営していた
- その際に建設業許可を持っていた
- 自らが経営業務管理責任者だった
という3つの条件を満たしています。Xさんのような人材を「取締役」ではなく、「執行役員」として会社に招き入れた際に、東京都の建設業許可を取得することはできるのでしょうか?
【回答】行政書士法人スマートサイドからのご回答
よく調べていますね。おっしゃる通り、建設業許可を取得する際の要件である「経営業務管理責任者」は、「取締役」であることが原則です。そのため、本来的には、金子さん(仮名)のような「常勤の取締役」が経営業務管理責任者になる必要があります。このような理由から、以前は、執行役員を経管として建設業許可を取得することはできませんでした。
しかし、現在では、「経管の要件を緩和する流れ」から「取締役会設置会社」に限って、「執行役員」を「経管」にすることも、条件付きで認められています。この点については、建設業許可を専門に扱っている行政書士の中でも、あまり、詳しく理解されている人が少ないようですが。
東京都の手引きには、
(注)「東京都都市整備局:建設業許可 手引き、申請書類など」参照
重要なポイントは、「取締役会設置会社であること」という点です。もし、金子さんの会社が「取締役会設置会社」でなければ、そもそも、上記の条件に該当しないため、Xさんを執行役員にして建設業許可を取得することはできません。この場合には、Xさんを取締役に就任させなければ建設業許可を取得することは難しそうです。しかし、その一方で金子さんの会社が「取締役会設置会社」である場合には、Xさんを取締役ではなく執行役員として招き入れて、東京都の建設業許可を取得できる可能性も残されています。
【解決策】執行役員を経営業務管理責任者にするための必要書類
仮に、金子さんの会社が「取締役会設置会社」であった場合、以下の書類をご用意のうえ、書類の内容を確認してみてください。
【書類】 | 【内容の確認事項】 | ||
---|---|---|---|
登記簿謄本 | 執行役員の地位で経営業務管理責任者になるには「取締役会設置会社」であることが必要です。「取締役会設置会社」であることを、登記簿謄本で確認します。 | ||
組織図 | 会社組織の部門の中に「建設業部門」があること、執行役員が「建設業部門の最高責任者」として、取締役会直下の地位にあることを確認します。 | ||
業務分掌規程 | 「建設業部門」が、建設業の一部のみ(たとえば工事の資金調達や、人事管理など)を掌握する部門でなく、当該会社の建設業に関するすべての業務を掌握する部門であることを確認します。 | ||
取締役会規則 | 取締役会が、執行役員の業務権限について具体的に委譲し、執行役員の選任・監督について責任を負うことを確認します。 | ||
執行役員規定 | 執行役員が、取締役会決議によって選任され、取締役会または代表取締役から具体的な権限委譲を受ける立場にあることを確認します。 | ||
取締役会議事録 | 当該執行役員(Xさん)が、取締役会決議において、執行役員に選任され、建設業部門に関する工事請負契約の締結や工事の施工に関する具体的な権限を授けられたことを確認します。 |
上記の書類で、Xさんに、「建設業の経営業務の執行に関し、取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的な権限委譲を受け」ていることを証明できるのであれば、Xさんを執行役員として建設業許可を取得する可能性があることになります。
ただし、そのためには、東京都建設業課の事前審査を受けたうえで、事前に確認をしてもらわなければなりません。
通常の申請では、手引きに記載されている「申請書」や「添付書類」を持参して、審査(本申請)をすれば済みます。しかし、執行役員を経営業務管理責任者にして建設業許可を取得するという難しいイレギュラーな事例では、事前に相談のうえ、上記の表で掲げた各種書類で問題ないかの審査を受けるというという流れになっています。
なお、弊所では、実際に執行役員を経営業務管理責任者にすることができた成功事例がいくつかあります。例えば
- 執行役員の経験しかない人を、執行役員の地位のまま、東京都の建設業許可を取得
- 他社での代表取締役の経験がある人を、申請会社の執行役員にして東京都の建設業許可を取得
- 大臣許可業者の後任経管を、執行役員の中から選任し変更届を提出。許可を維持することに成功
というように、新規で建設業許可を取得する場合のみならず、後任の経管を執行役員にするという方法で、すでに持っている建設業許可を維持することができた実績もあります。
【参考記事】執行役員を経営業務管理責任者へ
弊所ホームページでは、上記のようなさまざまな申請実績から、「執行役員を経管にして建設業許可を取得(もしくは維持)」するための専門記事を執筆しています。とくに、3つめの【お客さまインタビュー】の記事は、執行役員の経験しかない(取締役の経験がない)人を、執行役員のまま(取締役に就任させずに)経営業務管理責任者にして、実際に、東京都の建設業許可を取得したお客さまの取材記事です。
執行役員を「経管」にして建設業許可を取得したい人へ
この度は、行政書士法人スマートサイドのホームページをご覧いただき、誠にありがとうございました。弊所、行政書士法人スマートサイドは、東京都における建設業許可申請を専門としており、「どうしても建設業許可が欲しい」というお客さまの強い想いを実現するために、日々尽力しております。
令和2年の建設業法の改正以降、許可申請を取り巻く環境は変化し、要件も複雑化の一途を辿っております。特に、これまで原則とされてきた取締役ではなく、執行役員を経営業務管理責任者として建設業許可を取得したいというご要望は、専門的な知識と慎重な対応が不可欠です。
弊所は、法人組織として、建設業法に精通した経験豊富なスタッフが複数在籍しています。そのため、執行役員を経営業務管理責任者とするための要件や必要書類、申請における注意点などを熟知しており、お客さまの個別の状況に合わせて最適なサポートを提供することが可能です。
また、お客さまからの多様なご相談に対し、組織的な連携と効率的な情報共有によって、迅速かつ的確に対応できる体制を整えております。一件一件の申請に対し、複数のスタッフがチームで取り組み、多角的な視点からお客様の許可取得を支援いたしますので、ご安心してお任せください。
私たちは、単に許可申請の手続きを代行するだけでなく、お客様の事業内容や将来の展望を深く理解し、その成長をサポートさせていただくことを使命と考えております。執行役員を経営業務管理責任者就任による建設業許可取得は、その第一歩となる重要なステップです。
まずは、御社の現状の課題やご要望を詳しくお伺いし、弊所の専門知識と組織力をもって、実現可能な解決策をご提案させていただきます。建設業許可取得に関するご不安やお悩みなどございましたら、下記問い合わせフォームからご連絡下さい。行政書士法人スマートサイド一同、お客様の建設業許可取得を全力でサポートさせていただきます。