
■ 「令3条の使用人」が必要なケース
■ 「令3条の使用人」と営業所技術者の関係
■ 「令3条の使用人」と経営業務管理責任者の関係
■ 「令3条の使用人」の経験を使って経営業務管理責任者になる方法

東京都の建設業許可を取得・維持する専門家。大規模な会社の許可申請や、複雑な事案での許可維持を年間100社以上サポート。とくに「経営業務管理責任者の要件の証明」や、「営業所技術者の実務経験の証明」において、困難な状況にある会社を数多く支援してきた実績があり、お客さまからの信頼も厚い。「建設会社の社長が読む手続きの本(第2版)」を出版。 インタビューは、こちら。
「令3条の使用人」とは?
「令3条の使用人」とは「建設業法施行令第3条に規定する使用人」の略です。建設工事の請負契約の締結及びその履行に当たって、一定の権限を有すると判断される者、すなわち支配人及び支店又は営業所(主たる営業所を除く)の代表者である者をいいます。つまり、支店長や営業所長のことを言います。
「令3条の使用人」になるための3つの条件とは?
「令3条の使用人」として認められるためには、以下の3つの条件をすべて満たしている必要があります。
| 条件 | 内容 | 主な提出書類 |
|---|---|---|
| 1.常勤性 | 営業所にフルタイムで勤務していること(他営業所や他社との兼務は不可) | 健康保険被保険者標準報酬決定通知書など |
| 2.一定の権限 | 見積・入札・契約締結など、実務上の権限を代表者から委任されていること | 特になし(※参照) |
| 3.欠格事由 | 破産者や暴力団員等、建設業法で定められた「欠格要件」に該当しないこと | 身分証明書、登記されていないことの証明書など |
(※)行政庁への提出書類として「特定の様式」はありませんが、社内で支店長としての権限が正しく付与されていることが前提です。実務上は、「辞令」や「会社の実印を押印した委任状」を作成しておくことが一般的です。
1.支店・営業所への「常勤性」
単に支店や営業所に勤務しているというだけでなく、その営業所に常勤していることが求められます。そのため、複数の営業所での兼務や、他社との掛け持ちは認められません。
2.支店・営業所を「代表する権限」
代表取締役に代わって、その営業所(支店)における工事請負契約の見積り、入札、契約締結などの実態的な業務について権限があるとともに責任を負う立場であることが必要です。
3.「欠格要件」に該当しないこと
取締役と同様、令3条の使用人も建設業法上の欠格事由(不誠実な行為や法令違反など)に該当していないことが絶対条件となります。
「令3条の使用人」が必要なケースとは?
令3条の使用人とは、支店長や営業所長のことを言います。そのため、本社(主たる営業所)以外に支店(従たる営業所)がない場合には、令3条の使用人は必要ありません。知事許可の場合、通常は、本社以外に支店や営業所を設定しないことが多いため、令3条の使用人は不要です。
しかし、知事許可の場合でも、本社(主たる営業所)以外の営業所で「建設工事の請負契約の締結などの営業活動」を行うのであれば、令3条の使用人を、営業所に配置する必要があります。一方、大臣許可の場合は、主たる営業所以外の支店に、必ず令3条の使用人を配置しなければなりません。
| 許可の種類 | 従たる営業所の有無 | 令3条の使用人の有無 |
|---|---|---|
| 知事許可 | 本社以外に従たる営業所がない場合 | 不要 |
| 本社以外に従たる営業所がある場合 | 必要 | |
| 大臣許可 | 必ず必要 | |
「令3条の使用人」と営業所技術者の関係
「令3条の使用人」は、営業所技術者を兼ねることができます。
| 営業所 | 令3条の使用人 | 営業所技術者 |
|---|---|---|
| 埼玉営業所 | 鈴木一郎 | 鈴木一郎 |
| 大阪営業所 | 佐藤二郎 | 佐藤二郎 |
| 福岡営業所 | 甲野太郎 | 山田花子 |
たとえば、埼玉営業所の令3条の使用人である鈴木一郎さんが、一級土木施工管理技士の資格を保有していたとします。その場合、鈴木一郎さんは埼玉営業所の令3条の使用人だけでなく、埼玉営業所の営業所技術者を兼ねることができます。また、大阪営業所の佐藤二郎さんのケースも同様です。
一方で、福岡営業所の甲野太郎さんは、資格を保有しておらず、営業所技術者になるための実務経験もなかったとします。この場合、福岡営業所の令3条の使用人になることはできても、営業所技術者になることができません。そのため、福岡営業所の営業所技術者は、要件を満たす他の人(山田花子さん)になってもらう必要があります。
上記の例のように営業所が埼玉、大阪、福岡の3拠点のみの場合、令3条の使用人と営業所技術者の管理は、それほど難しくないかもしれません。しかし、私のクライアントである大臣許可業者には、営業所が全国に30拠点以上ある会社もあります。その中の1か所でも、令3条の使用人の不在、営業所技術者の資格の欠落があったら、その営業所は建設業許可を維持することができません。
このように、支店を全国展開している会社にとって、令3条の使用人と営業所技術者の常勤性や保有資格の管理は、建設業許可を維持するために、非常に大きなウエイトを占めてきます。
では、具体的に「全国30拠点以上」を抱える企業では、日々どのような体制で、どのような管理ツールを使って、このようなリスクを回避しているのでしょうか?
実際の人事・総務担当者が直面する「変更届の出し忘れ」や「配置ミス」を防ぐための一元管理術について、実務の最前線での対応策をインタビュー形式で詳しく解説しました。
→ 【専門家に聞く】全国30拠点以上の建設会社に学ぶ。令3条の使用人と営業所技術者の管理・変更届の実務
「令3条の使用人」と経営業務管理責任者の違いとは?
| 項目 | 経営業務管理責任者 | 令3条の使用人 |
|---|---|---|
| 所属 | 本社(本店) | 支店(従たる営業所) |
| 地位 | 取締役(もしくは執行役員) | 取締役でなくても可 |
| 主な役割 | 会社(建設業部門全体)の経営 | 営業所単位での契約・入札権限 |
| 営技との兼務 | 可 | 同一営業所内なら可 |
「会社全体の責任者」として建設業許可を取得する際に必要なのが経営業務管理責任者で、「各拠点の責任者」が令3条の使用人です。建設業許可の大臣許可を取得する際には、経営業務管理責任者だけでなく令3条の使用人の存在が必要です。知事許可を取得する場合、必ずしも令3条の使用人は必要ありません。
「令3条の使用人」の経験で経営業務管理責任者になれるか?
建設業許可を取得・維持する上で、最大の壁となるのが「経営業務管理責任者(以下、経管)」の確保です。
■ 社内に取締役として5年の経験がある人がいない……
■ 新しく役員に迎える人物が、他社での役員経験を持っていない……
そんな状況で建設業許可の取得をあきらめている人がいれば、ぜひ、以下の文章をお読みください。実は、取締役としての経験がなくても、「令3条の使用人(支店長・営業所長)」としての経験が5年以上あれば、経管になることができるのです。
営業所長経験での建設業許可を取得した実例紹介
実際に弊所がサポートした令3条の使用人の経験を活かした許可取得事例をご紹介します。
相談者:A建設会社社長
弊社でも新たに建設業許可を取得する必要性に迫られています。しかし、まだ設立年数が浅く、取締役の中に5年以上の経営経験を満たす者がおりません。ちょうど、グループ会社の中に、大臣許可を持っている会社があります。このグループ会社から鈴木さん(仮)を取締役として招き入れることによって、建設業許可を取得することはできないでしょうか?
回答者:行政書士
グループ企業の中に大臣許可を持っている会社があるのですね。その会社で5年以上の令3条の使用人(営業所長)の経験がある人がいれば、その人を取締役として招き入れることによって、建設業許可を取得することは可能です。まずは、経管候補者である鈴木さんの過去の経歴を確認してみてください。
| 許可を取りたい会社 | A建設会社 |
|---|---|
| グループ会社の大臣許可業者 | B建設会社 |
| 経管候補者 | 鈴木一郎さん |
このケースでは、鈴木一郎さんが、建設業許可(大臣許可)を持っているB建設会社で営業所長(令3条の使用人)を5年以上している場合、経営業務管理責任者としての過去の経験を満たします。
「令3条の使用人」=「営業所の責任者(営業所長や支店長)」として、その営業所の工事請負契約に関する業務を統括してきた経験は、「経管」としての過去の経験と同等に扱われるのです。その結果、A建設会社は、鈴木一郎さんを(出向)役員として招き入れることによって、建設業許可を取得することができたのです。
営業所長(令3条の使用人)経験を証明するため「様式第22号の2」とは?
令3条の使用人としての経験を証明するには、過去にその会社が行政庁へ提出した「様式第22号の2 変更届出書(第一面)」の控えが不可欠です。具体的には、建設業許可業者で令3条の使用人に就任した際の届出と、その会社で令3条の使用人を退任した際の届出を準備し、就任日および退任日の2つから、経験期間を算出します。
ここでも、A建設会社が鈴木一郎さんを経管として建設業許可を取得した際の書類について具体的に見ていきます。
以下の書類は、B建設会社が許可行政庁に提出している変更届です。『令和3年4月1日に鈴木さんがB建設会社の東京営業所の令3条の使用人に就任していること』がわかります。

続いて、以下の書類も、B建設会社が許可行政庁に提出している変更届です。『令和8年3月31日に鈴木さんがB建設会社の東京営業所の令3条の使用人を退任し、後任(佐藤さん)へ交代したこと』がわかります。

この2つの書類の期間を「点と点」で結ぶことによって、『鈴木一郎さんが建設業(大臣)許可を持っているB建設会社で、令和3年4月1日から令和8年3月31日までの5年間、令3条の使用人としての経験があること』を証明するのです。
「令3条の使用人」に関するよくある質問
「令3条の使用人」の配置や管理で迷ったら
「令3条の使用人」は、単なる営業所の責任者ではなく、建設業許可の維持に直結する重要な役職です。本記事で解説した通り、その役割は「現在の営業所体制の維持(適正な配置)」だけでなく「過去の経験を活かした許可取得(経管への活用)」という2つの大きな側面を持っています。
しかし、実務においては以下のような複雑な判断を迫られる場面が多々あります。
■ 全国に拠点があるが、異動のたびに発生する変更届をどうミスなく管理すべきか?
■ 現在の支店長が営業所技術者を兼務できるか、どのように判断すればよいか?
■ 取締役経験のない令3条の使用人を、本当にこのまま経管として申請して受理されるのか?
こうした個別具体的なケースにおいて、誤った判断は「許可の失効」や「申請の取り下げ」という取り返しのつかない事態を招きかねません。
行政書士法人スマートサイドの「有料相談」をご活用ください。
当法人では、知事許可から全国30拠点を超える大臣許可業者まで、幅広い建設会社のサポートを行ってきました。「令3条の使用人」に関するあらゆる悩みに対し、1時間11,000円の「有料相談」にて、専門家が直接お答えします。
■ 体制構築・管理の相談: 大臣許可の維持や、効率的な変更届の運用体制についてアドバイスします。
■ 許可取得・経管要件の診断: 過去の経験年数や必要書類を確認し、許可取得の可能性を導き出します。
ネット上の情報収集だけで時間を浪費し、リスクを抱えたまま準備を進めるよりも、まずは一度、専門家の目を通すことで「確実な許可維持・取得」を手に入れてください。
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