許可のメリットについては先に触れましたが、許可を得ることによって許可業者には下記のような義務が課せられます。
1.許可行政庁への届出義務
建設業の許可を受けた者に対しては、重要事項に変更があった場合には必ず許可行政庁に対して届出をするよう義務付けられています。たとえば、経営業務の管理責任者として届け出た者が常勤の役員でなくなった場合などがこれにあたります。
また、毎年事業年度終了から4カ月以内に決算報告の提出が義務付けられています。この決算報告を忘れると「経営事項審査」「般特新規」「業種追加」を受けられないといった思わぬ不利益を被ることになりかねません(この点については、こちらのページで詳しく書いていますのでご一緒にお読みください)。
2.標識の掲示・帳簿の備付義務など
建設業の許可を受けた者は、その店舗及び建設工事の現場ごとに、公衆の見やすい場所に、標識を掲げなければなりません。これを建設業許可票と言います。また、請負契約の内容を適切に整理した帳簿を営業所ごとに備えておかなければなりません。その他、営業に関する図書についても保存が義務付けられています。
3.その他の義務
上記の義務の他に、請負契約の締結に関して着工前に書面での契約が義務付けられていたり、請負った工事について他社に一括して下請負する行為・他社から工事を一括して下請負される行為の双方が禁止されています。さらに、下請け代金の支払い期日について期限が設けられその期限内に支払わなければならないとういう義務があります。
4.罰則
上記の義務に違反した場合には、業務改善命令・営業停止・許可の取消しなどといった行政処分になるだけでなく、司法当局の手により逮捕、刑罰の適用などが行われる可能性もあります。
建設業の経営者は、上記の義務を十分に理解したうえで、このような義務を履行できる万全のコンプライアンス体制を整えて違反行為を未然に防止しなければなりません。また、近年、頻繁に法令の改正が行われておりますので、知らぬ間に法令違反をしていたなどということにならないように専門家からの情報収集が求められます(「建設業法の改正について」)。