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建経営事項審査を受けている建設業者さまの中でも、意外と知られていないのが「売上高の振り替え(積み上げ)」です。実は、経営事項審査を受ける際には、ある業種の工事の完工高を他の業種の工事の完工高に、振り替えて(積み上げて)申請をすることができるのです。
この「振り替え(積み上げ)」は、経営事項審査の手引きにも書いてあるので、「虚偽申請」や「売上高の作出」には、該当しません。『そんなことが本当にできるのか?』と驚いている方もいるかもしれませんが、経営事項審査の手引きを確認してみてください。
なお、業種間の完工高の「振り替え」と呼ぶのか「積み上げ」と呼ぶのかについては、各自治体によって違いがあるようです。また、どの業種の完工高をどの業種の完工高に「振り替え(積み上げ)」できるのかも、各自治体によって、違いがあるようです。
このページでは、実際に経営事項審査をご依頼してくださったお客様の情報をもとに、東京都の経営事項審査の「振り替え」について、記載していきたいと思います。
会社所在地 | 東京都杉並区 |
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業種 | 土木・とび・鉄筋・舗装工事 |
相談内容 | 杉並区の「01:道路舗装」「02:橋りょう」「06:一般土木」の公共工事を受注したいので、経営事項審査のP点を上げたい。 過去に頼んでいた行政書士の先生は「経審はできない」とのことだったので、アドバイスが欲しい。また、経営事項審査の代行も併せてお願いしたい。 |
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申請内容 |
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まず、打ち合わせの段階で、「完成工事高の業種間の振り替え」について、ご存知なかったので、説明をしました。また、杉並区の入札については「今すぐに公共工事を落札したい」というよりも「今後2~3年をかけて、ゆっくり事業の柱としていきたい」ということでした。
前任の行政書士さんは「建設業許可」や「建設業に関する変更届」についてはできたものの、「経営事項審査」はできないとのことでしたので、前任行政書士から引き継ぐ形で、弊所で経営事項審査および入札参加資格申請の申請代行を行うということになりました。
冒頭にも記載しましたが経営事項審査を受ける際には、業種間の売上高(完成工事高)の「振り替え」が認められています。東京都の場合は、以下のような振り替えが可能です。
振替先の一式工事 | ← | 振替元の専門工事 |
---|---|---|
土木一式工事 | ← | とび、石、タイル、鋼構造物、鉄筋、舗装、しゅんせつ、水道施設 |
建築一式工事 | ← | 大工、左官、とび、屋根、タイル、鋼構造物、鉄筋、板金、ガラス、塗装、防水、内装、建具、解体 |
専門工事 | ⇔ | 専門工事 |
---|---|---|
電気 | ⇔ | 電気通信 |
管 | ⇔ | 熱絶縁 |
管 | ⇔ | 水道施設 |
とび | ⇔ | 石 |
とび | ⇔ | 造園 |
(1)の具体例でいうと、鉄筋工事や舗装工事の売上高を土木一式工事に振り替えることができます。また、同様に、塗装工事や内装工事の売上高を建築一式工事に振り替えることもできます。
(2)の具体例でいうと電気工事の売上高を電気通信工事に振り替えることや、熱絶縁工事の売上高を管工事に振り替えることができます。
ただし、以下のような注意点があります。
注意点1.振替元の業種で、経審を受けることができません。
たとえば、(1)の具体例で、鉄筋工事の売上高を土木一式工事に振り替えた場合、鉄筋工事で経審を受けることができなくなります。どうしても鉄筋工事で経審を受けたいという方にとっては、おすすめできません。
注意点2.振替元の業種の一部の売上高を振り替えることができません。
たとえば、鉄筋工事の売上高、1億円のうち、8000万円のみを土木一式工事に振り替えるといったことはできません。振り替える場合には、振替元の業種のすべての完成工事高を振り替えなければなりません。
注意点3.事業年度ごとに振替先を変えることができません。
たとえば、今回申請する経審で、審査対象事業年度および前審査対象事業年度の売上高を計上する場合。
審査対象事業年度の、とび工事の売上高を土木一式に振り分け、前審査対象事業年度の売上高を建築一式に振り分けるといったように、振替先をバラバラにすることができません。
注意点4.建設業許可を持っている業種であること。
振替元・振替先ともに建設業許可を持っている業種であることが必要です。例えば、内装工事の売上を建築一式工事に振り替えたいと思ったとしても、「建築一式工事」の建設業許可を持っていなければ、振替を行うことはできません。
今回、弊所で対応したお客様は、以下のような振替を行っています。
振替先の一式工事 | ← | 振替元の専門工事 |
---|---|---|
土木一式工事 | ← | とび、鋼構造物、舗装、 |
なお「注意点4」でも指摘したように、建設業許可を持っている業種でなければ経審を受けることはもちろんのこと振替を行うこともできません。
このお客様の場合、「土木」「とび」「鋼構造物」「舗装」の4業種について、建設業許可を取得済みです。
過去2年間の各業種の完成工事高は、以下の通りです。
業種 | 前審査対象事業年度 | 審査対象事業年度 | 2年間の平均完成工事高 |
---|---|---|---|
土木 | 0千円 | 0千円 | 0千円 |
とび | 1.488.038千円 | 1.158.341千円 | 1.323.190千円 |
鉄筋 | 143.001千円 | 346.469千円 | 244.735千円 |
舗装 | 0千円 | 179.514千円 | 89.757千円 |
【合計】 | 1.631.039千円 | 1.684.324千円 | 1.657.682千円 |
上記の4業種を「完成工事高の業種間の振替」を行うことなく、そのままP点を算出すると以下のようになります。
業種 | 2年間の平均完成工事高 | P点 |
---|---|---|
土木 | 0千円 | 679点 |
とび | 1.323.190千円 | 812点 |
鉄筋 | 244.735千円 | 751点 |
舗装 | 89.757千円 | 745点 |
シミュレーション結果は以下の通りです。
とび・鉄筋・舗装の3つの業種の売上高を土木一式工事に振り替えた場合の2年平均の完成工事高は、以下のようになります。当然のことながら、内訳が変わるだけで、合計や平均完成工事高に変更はありません。
業種 | 前審査対象事業年度 | 審査対象事業年度 | 2年間の平均完成工事高 |
---|---|---|---|
土木 | 1.631.039千円 | 1.684.324千円 | 1.657.682千円 |
とび | 0千円 | 0千円 | 0千円 |
鉄筋 | 0千円 | 0千円 | 0千円 |
舗装 | 0千円 | 0千円 | 0千円 |
【合計】 | 1.631.039千円 | 1.684.324千円 | 1.657.682千円 |
上記のように「完成工事高の業種間の振替」を行ったうえで、P点を算出すると以下のようになります。
業種 | 2年間の平均完成工事高 | P点 |
---|---|---|
土木 | 1.657.682千円 | 876点 |
「注意点1」に記載したように、振替元の業種では経審を受けることができないので、「とび」「鉄筋」「舗装」の3業種では、P点は算出されません。
シミュレーション結果は以下の通りです。
振替前と振替後のP点を比較してみると、一目瞭然ですが、土木一式工事のP点が197点もアップしています。
業種 | 振替前P点 | 振替後P点 | 比較 |
---|---|---|---|
土木 | 679点 | 876点 | 197点UP |
とび | 812点 | ー | ー |
鉄筋 | 751点 | ー | ー |
舗装 | 745点 | ー | ー |
このように土木一式工事のP点を197点もアップさせることができました。
しかし、「とび」「鉄筋」「舗装」の売上高を振り替えた影響で、「とび」「鉄筋」「舗装」の経審を受けることができず、P点がありません。このについて、「大丈夫なのか?」と疑問に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この点については、経営事項審査を受けたあとにやってくる「入札参加資格申請の手続き」と関連するため、入札参加資格申請の深い知識が必要になってくる場面です。以下では、簡略化して説明いたします。
この会社の場合「杉並区の入札に参加したい」とのことでしたが、入札に参加する業種は、
の3つです。そこで、この3つの業種の入札参加資格を申請するために必要な条件について、手引きの該当箇所を見てみましょう。
すると、以下の表のように、「とび」「鉄筋」「舗装」でP点を取得していなくても「土(土木一式)」で経審を受審し、P点を取得していれば、「01:道路舗装」「02:橋りょう」「06:一般土木」のいずれについても、問題なく入札参加資格を取得できることがわかります。
番号 | 業種 | 必要な建設業許可の業種 | P点が必要な経審業種 |
---|---|---|---|
01 | 道路舗装工事 | 舗 | 土・舗 |
02 | 橋りょう工事 | 土 | 土 |
06 | 一般土木工事 | 土・と | 土・舗・と・水 |
それでは、最後に「完成工事高の異業種間の振り替え」を行わず、そのまま経審を受けて、入札参加資格を取得した場合について、「01:道路舗装」を例にとってみていきましょう。
皆さんは、「ランク付け」や「等級格付け」といった言葉をご存じでしょうか?簡単に言うと、入札参加資格を申請する際には、AランクやBランクといったように、経審の結果(P点)、過去の実績などを加味して、各会社ごとにランクが付与されます。ランク(格付け)が良ければよいほど、大きい公共工事への入札が可能になります。
ここでは、わかりやすさを重視するために主観等級は無視して、客観等級のみについて、説明いたします。
東京都および東京都内23区市町村の「01:道路舗装工事」の客観等級の格付け基準は以下の表のようになっています。
客観点数(P点) | 客観等級 |
---|---|
900点以上 | A |
750点以上900点未満 | B |
650点以上750点未満 | C |
600点以上650点未満 | D |
600点未満 | E |
もし、業種間の振替を行うことなく、経審を受審していたら、
のため、「650点以上750点未満」のCランク相当になってしまいます。
一方で、今回のように業種間の振替をおこなった場合
のため、「750点以上900点未満」のBランクに該当することができます。
「01:道路舗装工事」の入札参加資格を取得するためには、
のほかに、
が必要です。経審を受審してP点を取得する業種については、「舗装工事」でも「土木工事」でも、どちらでもよいわけです。
そうすると、わざわざ、P点の点数や等級格付け(ランク)が低くなる「舗装工事」で経審を受審するよりも、「業種間の売上高の割り振り」を行って、舗装工事の売上を土木一式工事に振り替えたうえで、経審を受けたほうが、『断然お得』ということになるはずです。
今回の事業者さまからご相談を受けた際、
などを確認し、シミュレーションを行いました。お客様にとって、どういった方法で経審を受審するのがベストなのかについて、確認するためです。
記載した通り、やり方によっては、「P点の点数が197点も変わってきたり、CランクをBランクに格上げすることもできる」わけです。
こういった方法を理解していないと、知らず知らずのうちに自社にとって不利な申請を行っていることも十分に考えられます。
公共工事を落札するには、入札参加資格申請の仕組みをよく理解している必要があります。入札参加資格申請でより良いランク・格付けを取得するには、経営事項審査の手続きの理解が必須です。
行政書士の中にも、「建設業許可取得→経営事項審査申請→入札参加資格申請→等級格付け・ランクの付与」といった流れや、相互の関連性や、どの部分がどこに影響してくるのか?といったポイントを把握していない人は多いです。
経営事項審査の申請の仕方によっては、今回の事案のように、P点が679点から879点に、197点もアップするようなことがあるわけですから、申請手続きは、経審・入札の仕組みを十分理解している専門家に依頼したほうがよさそうです。
もし、御社が、経審・入札でお困りの際には、ぜひ、下記問い合わせフォームからご連絡下さい。
【この記事の監修・執筆責任者】 東京都行政書士会:文京支部所属(行政書士登録番号:14081073) 行政書士法人スマートサイド:代表:横内賢郎/出版実績一覧はこちら 「技術職員100名以上」「年間売上100億円超」「全国展開している大臣許可業者」など大規模事業者の申請手続きも、得意としている事務所です。 |
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