技術職員70名以上の大会社の経営事項審査を、不備なく、補正なく、無事完了しました!!

経営規模等評価結果通知書・総合評定通知書は、経営事項審査という審査を受けることによって発行される「経営事項審査の結果通知書」のことを言います。この経営事項審査の結果通知書である「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」には、P点(総合評定値)といった点数が記載されます。

P点は、公共工事を受注する際に大きな影響を及ぼす点数になるため、どの事業者も、なるべく高いP点を取得したがります。このP点の算出に当たって大きなウエイトをしめるのが、完成工事高や技術者の人数です。

今回は、技術者の人数が70名を超える大きな会社の経営事項審査を無事完了した事案について解説したいと思います。

2020年5月の申請実績

概要

会社所在地 東京都台東区
業種 機械器具設置工事
日にち 2020年5月

相談内容

相談内容 取引先から「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」を取得するように言われている。社内で検討したが、手続きについてだれも詳しい人がおらず、経理が担当することになった。が、結局、途中でやり方がわからなくなってしまった。

申請内容

申請内容
  • 経営事項審査
  • 経営規模等評価結果通知書、総合評定値通知書の取得代行

弊所の対応とコメント

行政書士法人スマートサイドの対応

自発的に「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書を取得したい」という会社より、取引先や仕事仲間から取得するように言われて、「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書を取得しなければならない」会社は、とても多いです。

弊所に経営事項審査の代行手続きをご依頼される会社のうち6割程度は、この事案のお客様のように「取引先や他社から言われて…」といったお客様です。

本事案では、途中まで自社で処理していたようですが、経営事項審査を受けて、結果通知書を取得するには、さまざまな手続きが必要で、1つ間違えると後々大掛かりな修正を行わなければならないケースもあるため、まずは、面談・打合せから慎重におこなうことにしました。

(1)面談・打合せ

面談・打合せの際には、

  1. 過去に都庁に提出している建設業許可関連の申請書類の副本
  2. 前期の決算報告書(税理士さん作成のファイル)一式
  3. 途中まで自社で作成した書類

を持参していただきました。

過去に都庁に提出している建設業許可関連の申請書類に漏れがあると経営事項審査を受けることができませんが、この会社の場合、そういった漏れはありませんでした。

また、経営事項審査に必要な申請書類は「税抜き」で記載することがルールとなっていますが、税理士さん作成の決算報告書は税抜き記載になっていたため、こちらも問題はありませんでした。

しかし、途中まで自社で作成した書類の一部(財務諸表)については、科目を間違えていたり、不必要な記載があったりと、修正が必要であると判断しました。さらに、途中まで自社で作成した工事経歴書も「経営事項審査用の書き方」になっていなかったため、新たに作成しなおす必要があると判断しました。

以上のようにいくつかの不備を修正するため、やり直しになる箇所があり、その箇所については、すべて弊所にて対応させていただく旨了承をいただいたうえで、案件を受任するに至りました。

(2)会社側の勘違い…

この会社のように、経営事項審査の書類を自分で作成しようとする会社によくある勘違いとして以下のようなものがあります。

・税込表記

まず、よくある勘違いとしての1つ目が、財務諸表や工事経歴書を税込み表記で作成してしまう点です。経営事項審査を受けるには、申請書類はすべて税抜きで作成しなければなりません。

・工事経歴書の記載の方法

経営事項審査を受けないときは、工事経歴書の記載の方法は請負金額の大きい順に記載すれば足りますが、経営事項審査を受けるときは、ただ単に大きい順に記載すればよいというものではありません。

・技術職員名簿の記載

技術職員名簿には、国家資格者しか記載できないと勘違いしている方もいらっしゃいます。国家資格を持っていなかったとしても、特殊な学科を卒業して5年以上の実務経験があったり、特殊な学科を卒業していなくても10年以上の実務経験があれば、技術職員名簿に記載することは可能です。

(3)技術職員について

経審の準備を進めながら、何回か打合せをするうちに、この会社の技術職員が70名を超えていることが判明しました。

当初、会社担当者は、「技術職員=国家資格者でなければならない」と勘違いしていたようで、技術職員は「数名程度」と聞いていたのですが、「国家資格なしでも10年以上の実務経験を有する人」を算出していただいたところ76名の方がいらっしゃいました。

公共工事を落札している会社でさえ、技術者はせいぜい10数名といったところでしたので、76名もの方がいらっしゃるというのは、すこし驚きました。と同時に、技術職員名簿の大規模な修正が必要になります。

東京都の経営事項審査のルール上、技術職員が40名を超える会社は、事前に確認のための審査を受けなければなりません。これは、標準報酬決定通知書や健康保険証のコピーを提示して、その技術職員が本当に会社に在籍しているのかをチェックするためです。

技術職員の人数が多ければ多いほど、経営事項審査の点数はUPします。そのため、会社に実際に在籍しているか否かを厳正に判断しなければなりません。通常、経営事項審査の場で、チェックをうければ足りるのですが、技術職員の人数が40名を超えるような場合には、チェックに時間がかかるため、事前の審査を受けるルールになっています。

(4)技術職員名簿の作り方

まず、会社の方に、技術職員全員の「氏名」「生年月日」「国家資格の有無」について、エクセルで一覧を作成していただきました。この会社は、機械器具設置工事(1業種)しか許可を持っておらず、経審も機械器具設置工事(1業種)だけの受審なので助かりました。

機械器具設置工事の経審点数がUPする資格は、とても限られているからです。会社からもらったエクセルを確認し、そのほとんどが、入社から10年以上経過し「実務経験10年(いわゆる法第7条第2号ロ該当)」の方たちだったので、「どの国家資格を」「どの業種に割り当てるか?」といった点を検討せずに済みました。

これが、複数の業種で経審を受審するような会社であった場合、技術職員名簿の資格者の振り分けは相当な時間が必要だったように思います。

技術職員名簿を作成し、技術職員全員分の標準報酬決定通知書を都庁に持参に事前審査を受けました。事前審査が終わるまでおよそ1週間程度かかりましたが、都庁から事務所あてに審査完了の連絡を受けました。

(5)いざ経営事項審査へ。

この会社の場合、事前に技術職員名簿のチェックを受けていたこともあり、経営事項審査は、過去の提出書類と経営事項審査申請書類との数字の突合せ作業がメインでした。とはいうものの、決して、経営事項審査が楽だったわけではありません。

  • 工事経歴書を経営事項審査用に書きなおしたり
  • 書き直した工事経歴書の上位5件の契約書類を準備したり
  • 過去に提出した書類と不整合がないか確認したり
  • 社会性の項目(法定外労災)などにチェック漏れがないかを確認したり

と挙げればきりがないくらいの注意点があります。

(6)経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書の取得

経営事項審査終了後、3週間程度で「経営規模等評価結果通知書・総合評定通知書」が都庁から会社に直接郵送されてきました。

コメント

この会社の場合、「実は、技術職員が70名以上だった」ということが途中で判明しました。技術職員が40名以上の場合は、都庁の事前審査を受けなければならないため、「数名」と「70名以上」というのは、数字以上に手続きにとても大きな違いをもたらします。

  • どのような国家資格を持っていると、技術職員名簿に記載できるのか?
  • 1人の職員に対して、何業種まで記載できるのか?
  • 同じような資格を持っている場合、どちらを記載すればよいのか?

など、技術職員名簿の記載方法は、手引きの細かいところまで読み込まないと理解できないため、経審を受審する際に苦労するところでもあります。

また、本文には記載しませんでしたが、この会社は建設業許可を取得してから1年数か月で経審を受審しました。細かいことなので、詳細は省きますが、審査対象事業年度および前審査対象事業年度に「未許可期間」がある場合、その「未許可期間」分の工事実績を工事経歴書に全件記載しなければなりません。この全件記載は、未許可期間中に500万円以上の工事を行っていなかったこと(建設業法違反がなかったこと)を証明するために必要です。

以上のように、経営事項審査を受審して「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」を取得するには、さまざま細かい約束ごとやルールがあります。

すこしでも早く、そして、すこしでも楽に「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」を取得したいとお考えの方は、専門家に依頼したほうがよいでしょう。

「経営規模等評価結果通知書・総合評定値通知書」を取得でお困りの際は、ぜひ行政書士法人スマートサイドまでご連絡をください。

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