「専任技術者」とは、その営業所に常勤して専らその業務に従事する者をいいます。建設業許可を受けて営業しようとする場合、その営業所ごとに必ず1人の専任技術者を置かなければなりません。
専任技術者は、請負契約の適正な締結や工事の履行を技術面から確保するために、常時その営業所に勤務するとともに、許可を受けようとする建設工事に関して、下記のような一定の資格または経験を有することが求められます。
一般建設業の専任技術者の要件
(1)大卒または高卒等で、申請業種に関連する学科を修めた後、大卒で3年、高卒で5年以上の申請業種についての実務経験を有する者
(2)学歴の有無を問わず、申請業種について、10年以上の実務経験を有する者
(3)申請業種に関して法定の資格免許を有する者(1年以上実務経験必要な場合あり)
特定建設業の専任技術者の要件
(4)「一般」で説明した(1)(2)(3)のどれかに該当した上に、さらに申請業種にかかる建設工事で、発注者から直接請負った建設工事でのその請負額が4,500万円以上の者に関して元請負人の指導監督的実務経験が通算2年以上ある者
(5)申請業種に関して法定の資格免許を有する者
(6)国土交通大臣が(4)または(5)に掲げる者と同等以上能力を有する者と認定した者
専任技術者が欠けたら…
専任技術者が欠けた場合、経営業務管理責任者が欠けた場合と同様に、代わりの者がいるときは2週間以内に「専任技術者証明書」により届出ますが、いないときは2週間以内に欠けたことを「届出書」により届出て、許可取消処分を受けるか、30日以内に「廃業届」を提出します。
経営業務管理責任者とは異なり、専任技術者は役員に限らず従業員でも国家資格者などの要件を満たせばなれるので、不測の事態に備え、職員に資格を取得させるなどして常に資格者が複数在籍するようにしましょう。
専任技術者の実務要件の緩和について
本来であれば、許可を受けようとする業種について10年以上の実務経験を有していなければ専任技術者となる資格は認められていないものを、一定範囲の業種については他業種の経験も申請業種の実務経験としてカウントすることができます。これにより実質的に実務経験の期間の短縮が認められることになります。これを「実務要件の緩和」といいます。
<とび・土工工事、しゅんせつ工事、水道施設工事の許可を受けようとする場合>
仮に、とび・土工工事、しゅんせつ工事、水道施設工事について10年以上の実務経験がなくても、これらについて8年以上の実務経験があり、かつ土木工事業の実務経験と合わせて12年以上あれば、とび・土工工事、しゅんせつ工事、水道施設工事の専任技術者となることができます。
<大工工事、内装仕上工事、屋根工事、ガラス工事、防水工事、熱絶縁工事の許可を受けようとする場合>
仮に、大工工事、内装仕上工事、屋根工事、ガラス工事、防水工事、熱絶縁工事について10年以上の実務経験がなくても、これらについて8年以上の実務経験があり、かつ建築工事業の実務経験と合わせて12年以上あれば、大工工事、内装仕上げ工事、屋根工事、ガラス工事、防水工事、熱絶縁工事の専任技術者となることができます。
<大工工事の許可を受けようとする場合>
仮に、大工工事について10年以上の実務経験がなくても、大工工事について8年以上の実務経験があり、かつ内装仕上工事の実務経験と合わせて12年以上あれば、大工工事の専任技術者となることができます。
<内装仕上工事の許可を受けようとする場合>
仮に、内装仕上工事について10年以上の実務経験がなくても、内装仕上工事について8年以上の実務経験があり、かつ大工工事の実務経験を合わせて12年以上あれば、内装仕上工事の専任技術者となることができます。