「元請会社から建設業許可を取るように言われて…」というご相談は、建設業許可を取得するケースで1、2を争うほど、よく頂くご相談といっても過言ではありません。
4次下請だろうが5次下請だろうが、建設業許可を持っていない事業者は、現場に入ることができないといった風潮になっているのかもしれません。
今回は、「許可を持っていない人は現場に入れません!」といった最後通告を受け、40代半ばにして人生最大のピンチを迎えてしまった鈴木さん(仮名)のご相談事例のご紹介です。
相談者 | 鈴木さん(仮名)40代・男性 |
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所在地 | 東京都 |
役職 |
個人事業主 |
【相談内容】
何年も前から懇意にしている元請会社がありまして、ずっと「持ちつ持たれつ」で良好な関係を築いて、ビジネスパートナーとしてやってきたのですけど。
いきなり「建設業許可を持っていないと現場に入ることができないので、至急、建設業許可を取るように」って言われてしまって。ついでに「いつまでも個人でやっていないで、会社を設立して法人化してください」と。
親会社やグループ会社の意向も働いているようなのですが、あまりにも突然のことですので、ほんとうに参りました…
個人事業主として15年以上たち、娘も中学を卒業して、もう手がかからなくなってきたので、どこかのタイミングで、個人事業主を法人化して建設会社を立ち上げようとは思っていました。
建設業許可についても、どこかのタイミングで、より大きな工事の受注のために取ろうと考えていました。
ですが、何の前触れもなくいきなり「建設業許可を取らなければ工事現場に入れません」って。しかも「ついでに法人化も検討してください」って、言われても。
元請からの要請 | |||
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ミッション1 | 個人事業主を、法人化(会社設立)する | ||
ミッション2 | 会社設立したあとに、建設業許可を取得する |
「建設業許可の取得のタイミング」も「法人化のタイミング」も、自分で決めたかったし、せめて娘の大学進学が決まって、子育てがひと段落してから家内と相談し、進めていきたかったです。
うちは、従業員が何人かいますが、経理や事務は妻にやってもらっているので、妻にも相談してみたのですが、ほんとびっくりしたようで。「なんでこのタイミングなの。せめて、もう少し事前に話があるとか、余裕をもって話をしてくれなかったのか」と。
そりゃ、おどろくのも無理はありません。
幼馴染で建設業やっている仲間にも聞いてみたのですが、建設業許可を取るのは、難しいって言ってます。以前、知り合った同業は、税理士に相談したら「建設業許可は取れないからあきらめなさい」って言われて、「散々だった」って言ってました。
会社設立だって税金や社会保険とかいろいろ面倒な手続きが多いというイメージです。
とはいうものの、元請からの仕事がなくなったら生活が維持できないので、元請の言う通り会社を設立して、建設業許可を取るしかないのですが、どのようにしたらよいのでしょうか?
【ご回答】
元請から「建設業許可を取ること」「個人事業主を法人化すること」の2点を至急おこなうように催促を受けている鈴木さん(仮名)。弊所へのご相談の際には、奥様も同席されて、せっぱ詰まっている印象がありました。
鈴木さん(仮名)も、おっしゃっている通り、「個人事業主の法人化」や「建設業許可の取得」は、それこそ、人生の一大事なので、たとえば、『子育てがひと段落してから』とか、『自宅のローンの支払いのめどがついてから』とか、『お子さんの独立を機に』といった、自分たちのタイミングで決めたいところです。
鈴木さんご自身も、幼馴染や同業の建設業者から情報を得て、建設業許可について、知識をインプットしているようですね。税理士に相談したら「建設業許可は取れないからあきらめなさい」って言われて、「散々だった」という同業者の話は、とりあえず、わきに置いておくとして、現実問題として、建設業許可を取得できないケースというのもあります。
今回の場合、元請さんからの要請で、突如、手続きを進めなければならなくなってしまったうえに、建設業許可取得についての不正確でかつネガティブな情報しかないところが、鈴木さんのおっしゃる「人生最大のピンチ」なのかもしれません。
【解決策】
まず、個人事業の法人化ですが、これは会社設立手続きを行うことによって、およそ1か月くらいで法人を立ち上げることができます。ご存知のかたも多いかもしれませんが、会社の名称、本店所在地、資本金など、会社の重要事項を決定の上、印鑑を用意して法務局に申請するといった流れになります。
なお、手続き自体は、司法書士の先生にお願いする人が多いようです。
個人事業主の法人成り(会社設立手続き) | |||
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申請先 | 公証役場+法務局 | ||
期間 | ひと月程度で、登記簿謄本が完成 |
次に、建設業許可の取得ですが、個人事業主としての経験が15年以上ある鈴木さんについては、過去の実績をきちんと証明できれば、建設業許可を取得できる可能性が高いと言えます。
- 確定申告を行っていない
- 過去の工事に関する資料を破棄してしまっている
といった場合でない限り、書類の作成の仕方を間違えなければ、ほぼ確実に建設業許可を取得できる見込みがあるといって間違いありません。もっとも、書類作成のコツや資料の準備の仕方には専門的な知識が必要であることは言うまでもありません。
鈴木さんのように個人事業主が法人化して建設業許可を取得するようなケースで注意をして欲しいのは、
- 会社の本店所在地
- 会社の資本金
- 会社の目的
- 社会保険への加入
- 都税事務所(県税事務所)への届出
の5つの点が、建設業許可を取得する際に、非常に重要になってくるという点です。
建設業許可を取得する際の法人設立の5つの注意点 | |||
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1.本店所在地 | 自宅兼会社の場合「営業所要件」を満たさないケースも | ||
2.資本金の額 | 資本金の額は500万円以上がお勧め | ||
3.会社の目的 | 「○○工事の請負および施工」という文言を | ||
4.社保加入 | 社保への加入は、許可要件です | ||
5.都税へ届出 | 都税事務所への法人設立届が、許可の際に必要 |
たとえば「1.会社の本店所在地」について。会社設立時の出費を抑えたいがために会社の本店所在地を「自宅」にするようなケースは、多いと思います。しかし、「自宅兼営業所」の場合、「営業所」としての独立性が認められず、建設業許可を取得できない場合があります。
「2.会社の資本金」ですが、設立時の資本金が500万円未満だと、許可申請時に500万円以上の預金残高証明書の提示を求められます。
「3.会社の目的」についても、「〇〇工事業の請負及び施工」といった文言が入ってないと、「後日、追加します」といった念書を求められるケースもあります。
「4.社会保険への加入」は、建設業許可取得の要件になっているので、必須ですし、「5.都税事務所への届出」も東京都知事許可を取得する際には、必須の提出書類となっています。
1~3までは「会社設立の段階」で決めることになり、4・5は「会社設立後」に届出が必要になります。
- 1~3は司法書士業務
- 4は社会保険労務士業務
- 5は税理士業務
となるため、会社設立後、すぐに建設業許可を取得したいのであれば、「司法書士」「税理士」「社労士」と情報を共有し、会社設立段階で、建設業許可をスムーズに取得できるような準備をしておかなけれればなりません。
各種手続きの専門家 | |||
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1~3 | 司法書士(会社設立手続き) | ||
4 | 社会保険労務士(社会保険の手続き) | ||
5 | 税理士(税務署・都税事務所への手続き) |
税理士、社労士、司法書士に建設業許可取得についての知識があればよいのですが、ほとんどの場合、建設業許可取得についての知識がない、もしくは非常に乏しいといった現実があります。
鈴木さんの同僚のかたも、「税理士に相談したら、散々だった」ようですが、税理士は税務申告のスペシャリストだったとしても、建設業許可のスペシャリストではないため、細かい部分についての専門知識に欠けていたのかもしれません。
そのため、行政書士法人スマートサイドにご依頼頂いた際には、「司法書士」「税理士」「社労士」をご紹介し、場合によっては、打ち合わせや面談に同席の上、会社設立から建設業許可取得に必要な手続きや書類などの情報を共有させて頂くことが可能です。
このように、元請からいきなり「個人事業の法人化(会社設立)」と「建設業許可の取得」の2つを要請されて、困り果てている鈴木さんでしたが、
- 司法書士に会社設立手続きを
- 社労士に社会保険加入手続きを
- 税理士に税務署への届出を
行ってもらい、なおかつ弊所にて建設業許可取得手続きを行うことによって、「法人化」ならびに「建設業許可の取得」の2つをクリアすることは可能です。
鈴木さんにとってみては、人生最大のピンチだったかもしれませんが、裏を返せばピンチはチャンスです。弊所への相談を機に、以前からお付き合いのある元請はもちろんのこと、その他の取引先やお客様からの信頼を勝ち得て、さらなる売上アップ、業務の拡大にチャレンジできる環境が整ったといえるのではないでしょうか?
奥様や娘さんに、自慢できる建設会社に成長していって頂くことを願っています。
【行政書士法人スマートサイドからのご案内】
行政書士法人スマートサイドでは、上記の鈴木さん(仮)のケースのように、個人事業主が法人化するとともに建設業許可を取得したいと言ったご相談・ご依頼を承っています。
- 本当に建設業許可を取得できるのか?
- 法人化して許可を取得するまでの手続きをサポートして欲しい
- この際なので、税理士や社労士も紹介して欲しい
といった質問・ご要望も大歓迎です。スマートサイドに依頼したいという方は、ぜひ、下記問い合わせフォームからメールにてご連絡ください。