- 元請からの強い要請で…
- 取引先から命じられていて…
といった理由で、個人事業主の方から「法人設立→建設業許可取得」のご相談を受けることは、非常に多いです。以前は、年に数件あれば多いほうでしたが、今年に入って、毎月のようにご相談をいただいています。
社会保険の加入が建設業許可の要件になり、いよいよ個人事業主を取り巻く環境にも地殻変動が起こっているのかもしれません。いままでは、ずっと個人事業主としてやっていこうと思っていた方も、元請や取引先に催促され、自分の意思とは関係なく、法人設立、建設業許可取得を強いられるケースも多いように思います。
そこで、このページでは「初回の相談~都庁への申請まで」の経緯を時系列に沿って、解説させていただきます。
なお、以下の記載は、あくまでも「建設業許可の要件」を満たしている事業者の申請実績です。「建設業許可の要件」を満たしていなければ、法人設立をしたところで、建設業許可を取得することはできません。その点には、十分に注意して個人事業主から法人設立の手続きを行ってください。
相談!?会社を設立して、建設業許可を取得して欲しい!
概要
会社所在地 | 東京都練馬区 |
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業種 | 鉄筋工事 |
相談内容
相談内容 | 現在は個人事業主を行っているが、元請から、法人を設立し建設業許可を取得するように命じられている。
法人になって、建設業許可を取得しないと、現場に入れてもらえないため、可能な限り早く許可を取得したい! |
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申請内容
申請内容 |
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行政書士法人スマートサイドの対応
個人事業主から法人成り(法人設立)を希望されているお客様で、一番注意しなければならないことは何か?それは、法人設立後に建設業許可を取得することができるか否か?に他なりません。
法人を設立することだけが目的であるならば、問題ありませんが、弊所にご相談に見えるお客様は、法人設立がメインの目的ではなく、法人設立後に建設業許可を取得することがメインの目的のお客様ばかりです。
- 「法人設立は、無事完了しましたが、建設業許可が取れませんでした!」
- 「法人設立後、建設業許可を取得するまで、あと5年かかります!」
では、そもそも、面倒な思いをして個人事業主から法人になった意味がありません。今回のお客様の場合は、個人事業主としての経験が豊富であったこと、鉄筋施工の1級技能検定に合格されていたことの2点から、建設業許可要件を満たしていると判断しました。
そのため、会社設立から建設業許可取得に至る一連の手続きを弊所にて承ることといたしました。
以下では、初回面談~許可申請のスケジュールに沿って、記載します。
会社設立~建設業許可取得までのスケジュール!大公開!
4月5日:建設業許可取得に向けた「初回打合せ」
今回のお客様が取得する建設業許可は、鉄筋工事業の許可です。
初回の打ち合わせの前に、メールで何回かやり取りをしていたおかげで、許可要件を充足していることについては、大体、把握できていました。
弊所への依頼主である「代表取締役(元:個人事業主)」の方は、経営業務管理責任者の要件も、専任技術者の要件も満たしていません。
そのため、他の個人事業主の方に、個人事業を廃業してもらい、その方に「取締役」として設立後の会社に参画してもらうことになりました。すでに、その方のご了承を得ているということでしたので、代表取締役以外の、取締役が経営業務管理責任者+専任技術者になるといった方向性で作業を進めることになりました。
4月8日:法人設立のための「司法書士・社労士のご紹介」
会社を設立する際には、
- 法務局への登記申請→司法書士
- 税務署への届出→税理士
- 社会保険関係の届出→社会保険労務士
といったように、各種専門家のサポートが必要です。これらすべての作業が終わってからでないと、行政書士である私が、東京都庁へ建設業許可申請をすることはできません。
そこで、初回の打ち合せから3日後に、司法書士と社会保険労務士との面談を実施し、会社設立手続きは司法書士に、社会保険加入手続きは社会保険労務士に依頼をするといった段取りを決めました。
司法書士との面談、社会保険労務士との面談の、いずれも私が同席し、建設業許可を取得するために必要な手続き、書類について、詳しく説明をさせていただきました。なお、司法書士、社会保険労務士のいずれも弊所からのご紹介です。
税理士のみ社長の知り合いがいるとのことでしたので、今回は、弊所から税理士の先生をご紹介するということはありませんでした。
4月14日:会社設立日
司法書士との打ち合わせの6日後に、会社設立日が決まりました。この会社設立日は、登記の申請書類を法務局に提出した日です。
4月8日の打ち合わせの後
- 資本金の振り込み
- 会社印の購入
- 定款の作成
- 必要書類への押印など
司法書士の先生と、社長との間で、いくつもの作業を経て、4月14日に設立・登記申請となりました。
4月19日:登記簿謄本の完成
会社の登記簿謄本は、建設業許可取得の際に必要な書類ですが、4月14日に会社設立登記を申請したからと言って、その日のうちに、会社の登記簿謄本ができてくるわけではありません。
法務局にもよると思うのですが、東京都内の場合は、おおむね1週間程度で、登記簿謄本を取得できるようです。このケースでも、4月14日申請(設立)した会社の謄本ができてきたのは4月19日でした。
4月19日の謄本完了後、税理士・社労士のそれぞれに謄本を郵送し、税務署への届出、社会保険関係の届出を行っていただくことになります。
4月22日:健康保険・厚生年金・雇用保険の加入が完了
4月19日の謄本完了後、急いで、社会保険労務士の先生に「健康保険・厚生年金保険・雇用保険の加入手続き」を行っていただくことになりました。現在では、社保の加入は、建設業許可の要件となっています。そのため、建設業許可を取得するためには、避けて通れない手続きの一つとなっています。
社会保険労務士の先生は、非常に急いでいただき、謄本取得後3日で、社会保険関係の手続きをすべて行っていただくことができました。
健康保険への加入、厚生年金保険への加入、雇用保険への加入の手続きが、ばっちり完了しました。
4月23日:都税事務所への開業届の提出が完了
続いて、4月23日には、税理士の先生の都税事務所へ開業届の提出手続きが完了しました。注意をしていただきたいのは、建設業許可取得の際に必要な書類は、「都税事務所への開業届」で「税務署への開業届」ではありません。
この点については、税理士の先生も理解されていない方が多いので注意が必要です。あくまでも「都税事務所」への提出書類を、建設業許可取得の際に添付書類として提出しなければなりません。
建設業許可申請の準備
- 4月 5日:初回の打ち合わせ
- 4月 8日:司法書士・社労士のご紹介
- 4月14日:会社設立
- 4月19日:登記簿謄本完了
- 4月22日:社保手続き完了
- 4月23日:都税事務所への申告完了
といった経緯を経て、いよいよ私の出番です。依頼者である社長とはもちろんのこと、司法書士・社労士・税理士の先生がたと綿密に連絡を取り合い、建設業許可を取得する際に必要な書類を準備、郵送していただくように指示するのが私の役目です。このあたりの意思疎通がうまく行かないと、どんなに急いでほしいといわれたとしても、建設業許可を申請することができません。
いわば、行政書士が司令塔になって、「何を」「いつまでに」「どういった形」で準備するのか?といったことを細かく正確に指示しなければなりません。以下は、必要な書類を一覧にしました。
各種専門家から、会社設立の際に必要になった様々な書類を取り寄せて、建設業許可申請のために整理をしなければなりません。
司法書士から取り寄せた書類 |
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社労士から取り寄せた書類 |
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税理士から取り寄せた書類 |
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役所から取り寄せた書類 |
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社長に送ってもらった資料 |
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4月28日:都庁へ建設業許可申請へ
4月28日。
いよいよ満を持して、都庁への申請です。
とくに今回の事案では、個人事業主から法人設立したとはいうものの、営業所は、いわゆるオフィスを賃貸したわけではなく、「自宅兼事務所」でした。「自宅兼事務所」だと、建設業許可を取得する際の営業所の要件を満たさないというわけではないのですが、営業所部分と住居部分が明確に分かれていないと、申請が受理されないおそれがあります。
そのため、この事案では、営業所内部の写真の撮り方や、コピー機やプリンターなどの写真の映り具合、建物入口から営業所までの導線など、細かいところに注意しました。
また、専任技術者の要件は、国家資格でカバーできたものの、経営業務管理責任者の要件は「10年近く前の法人代表としての資格」と「直近の個人事業主としての資格」で証明するため、
- 法人代表時代の閉鎖事項証明書
- 法人代表時代の請求書+入金通帳の原本
- 個人事業主時代の確定申告書
- 個人事業主時代の請求書+入金通帳の原本
を持参するといった、なかなかハードルの高いものでした。
会社設立後2週間。無事建設業許可の申請が完了。
申請の途中で、「登録する電話番号の記載を携帯電話から固定電話に修正するように指示を受ける」といった予想外の指摘を受けましたが、もともと固定電話がある事業者でしたので、大きな支障にはなりませんでした。
以上の経緯を得て、会社設立後、2週間程度で、建設業許可を無事申請することができました。
個人事業主が会社を設立して建設業許可を取得するポイント
さて、実際に私が受任した「会社設立~建設業許可申請まで」のスケジュールを見ていただき、いかがでしたでしょうか?
個人事業主から会社を設立して建設業許可を取得するには、
(1)会社を設立すること
(2)必要書類を集めること
(3)会社設立後に許可を取得することができるのかを見極めること
の3点が必要です。この3点をバラバラにやると、ほぼ100%うまく行かないと思います。
建設業許可を取得するには、どの要件が重要で、その要件を証明するには、どの書類が必要で、それをどの順番でそろえて行けばよいのか?ということは、やはり建設業許可取得の専門家である行政書士でないと、正確な理解は難しいと思います。
どうしても会社を設立し、建設業許可を取得したいという方がいれば、1つ1つの手続きをバラバラに依頼するのではなく、弊所のような各専門家と連携の取れる行政書士事務所に依頼することを強くお勧めいたします。
行政書士法人スマートサイドでは、これから「法人成りしたい!」「建設業許可を取得したい!」という個人事業主さまからのご依頼もお待ちしております。下記、問い合わせフォームからご連絡下さい。