このページは、建設業許可取得の専門家である行政書士法人スマートサイドが、10年の実務経験を証明して、実際に建設業許可を取得した事例をもとに、取得までの流れ、証明の方法などを解説したページです。
10年の実務経験の証明方法が分からないと悩んでいる人に、ぜひ読んでいただきたいページです。
行政書士法人スマートサイドの申請実績のページでは、幾度となく、「10年の実務経験の証明に成功し、建設業許可を取得した実績」を掲載しています。今回も同様に、10年の実務経験を証明し、とび・土工・コンクリート工事の許可取得に成功した事案です。
この事案は、前任の行政書士さんが、許可取得を諦めた事案です。前任行政書士さんが許可取得を諦めたにもかかわらず、どうして弊所で許可を取得することができたのでしょうか?
「前任者のミスを検証し、そのうえで、弊所が対応したこと」という記載の仕方をしましたので、どうやったら、10年の実務経験を証明できるのか、見せ方のポイントなど参考にしてみてください。
【相談】建設業許可の取得を、あきらめるしかないか?
概要
会社所在地 | 東京都江東区 |
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業種 | とび・土工・コンクリート工事業 |
相談内容
相談内容 | 他の行政書士事務所に依頼をしていた。幾度となく催促をした結果、3ケ月経ってやっと都庁に申請に行ってくれた。
しかし、書類の不備を指摘されたり、書き直しが必要になったりして、これ以上は難しい旨、言われた。 前任行政書士の対応に不信があったため、別の事務所に依頼することに決めた。 東京都の建設業許可申請に強い事務所を探していたところ、紹介を通して行政書士法人スマートサイドにたどり着いた。 |
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申請内容
申請内容 | ・建設業許可新規申請(とび・土工・コンクリート工事) |
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行政書士法人スマートサイドの対応
今回の案件は、すでに3ケ月以上まえに他の事務所に依頼していたが、手続きが進まず、困ってしまっていた事業者さまからのご依頼です。
- 知り合いの行政書士事務所に依頼
- 作業が進まず、何回も電話で催促
- そのたびに「あれが必要」「これが必要」「もう少し待ってください」といわれ、作業が進む気配がない
- やっと都庁に申請に行ってくれたと思ったら、「許可取得は難しくこれ以上はできない」旨の説明を受けた
- 紹介を通じて、行政書士法人スマートサイドを知ったので、弊所に相談にお越しになった
という流れです。
面談の際には、まず、「前任の行政書士さんが作成した書類」を詳細に拝見しました。あまり同業者の悪口は言いたくありませんが、東京都建設業許可に不慣れな行政書士が作成した書類であることは一目瞭然でした。『これでは、審査は通らいないな…』と。
一方で、事業者さんの「取締役としての経験」「専任技術者としての経験」は申し分なく、きちんと書類を整えて、申請をすれば、十分許可を取得することができる事案であると確信しました。
そこで、「前任者への依頼をお断りし、弊所にて受任させて頂くことで不都合はないか?」という意思確認を行ったうえで、以後の手続きを弊所で引き継ぐことになりました。
以下では、前任行政書士の作成した書類のどこがマズかったのか?といった観点も踏まえたうえで、解説して行きたいと思います。
10年実務で建設業許可を取得する極意
前任行政書士の書類作成上のミス
(1)工事経歴書の記載について
前任の行政書士が作成した工事経歴書を拝見したところ、1つの請負契約の工事が複数に分かれて記載されていました。1つの請負契約の工事を複数に分けて工事経歴書に記載することはできません。
例えば、『新宿マンション・とび工事』を『令和〇年1月~6月』の間、施工したとします。仮に、この請負契約の入金が『令和〇年1月20日、2月20日、3月20日、4月20日、5月20日、6月20日』と6回に分かれていたとしても、1つの請負契約である以上、工事経歴書には1行で、下記のように記載しなければなりません。
・注文者:○○
・元請または下請
・工事名:新宿マンション・とび工事
・施工場所:東京都新宿区
・配置技術者氏名:〇〇一郎
・請負金額:〇〇千円
・工期:令和〇年1月~6月
前任者さんは、入金が6回に分かれていたため、同じ注文者からの同じ工事を6つに分けて(6行で)記載していました。これでは、審査担当者に不備を指摘されても仕方ないですね。
(2)営業所の写真の撮り方について
また、前任者さんには、営業所確認資料の提出についても、問題がありました。この案件のご依頼者さまは、自宅兼事務所の事業者様です。自宅兼事務所の場合には、
- 1.居住スペースと営業所部分が明確に分かれていること
- 2.営業所部分が事務所としての独立性を持っていること
- 3.営業所部分にパソコン、プリンター、固定電話などが配置されており、接客スペースが確保されていること
などを写真で分かるように提出しなければなりません。また、上記のことがわかるように
- 4.手書きでよいので見取り図をつけること
も必要です。
前任者の書類を拝見したところ、「3.営業所部分の写真」については、充実していましたが、他の部分が抜け落ちていました。(1)と同じことですが、これでは、申請は通りません。営業所としての実態が備わっていても、見せ方が悪ければ、営業所としての実態が備わっていないのと同じです。
そこで、弊所では、後日、お客様宅を訪問し、改めて1~3までの写真を撮影し、4.について作成をしました。
(3)実務経験の証明の仕方について
前任行政書士さんの一番の問題は、10年の実務経験の証明の仕方が、「全くと言っていいほどなってない!」ということでした。この事業者さまの場合、国家資格もなく、指定学科の卒業でもないため、10年の実務経験の証明が必要です。
手引きにも記載があるとおり、専任技術者の実務経験を証明するには、「業種内容が明確に分かる工事請負契約書、工事請書、注文書、請求書の写しなど」が必要です。皆さんは、この「業種内容が明確に分かる工事請負契約書、工事請書、注文書、請求書の写しなど」という文言をどう読み解きますか?
この場合、大事なのは、「工事請負契約書、工事請書、注文書、請求書の写しなど」の部分でありません。「業種内容が明確に分かる」という部分です。契約書や請書が10年分あったとしても、その記載から業種内容が明確に分からないのであれば、証明の役には立ちません。
一方で、契約書や請書を保管していなかったとしても、請求書の記載から「業種内容が明確に分かる」のであれば、それは、証明資料として十分に通用します。
段ボール数箱分の契約書を準備したとしても、証明資料として役に立たないことはあり得ます。契約書や請書がなくても、請求書と通帳のセットで10年の実務経験を証明することは十分に可能です。
前任行政書士さんは、「出せるものはすべて出す」という感覚だったのでしょうか?「とび・土工であることが明確にはわからない書類」や「工事とは関係ない書類」が散見されました。これでは、「業種内容が明確に分かる」という文言に反しているため、10年の実務経験を証明できません。
行政書士法人スマートサイドの対応
再度、建設業許可が通るように提出書類の作成
上記のような、前任行政書士さんのミスを踏まえて、弊所では以下のように対応をしました。
(1)の工事経歴書の記載については、建設業法違反がないかを注意しながら、弊所ですべて作成しなおしました。
(2)の写真の撮り方については、すでに記載したように面談の後日、お客様宅に訪問し写真を取り直しました。建物の外観、表札はもちろんのこと、玄関から営業所までの導線、営業所内部についても撮影しました。そのうえで、住居部分と営業所部分が明確に分かれていることを、見取り図を作成して証明しました。
(3)の実務経験の証明については、事業者さまに請求書を10年分(=120か月分)以上、再提出してもらうことにしました。そのうえで、請求書の記載から明確に「とび・土工・コンクリート工事」であることが判別できないものについては、排除してもらうことにしました。
請求書については、月1件を10年分ですので120か月分以上必要になります(現在は、3か月に1件、40件以上で可となりました)。120枚以上の請求書とその請求に対する入金記録を確認する作業は、確かに骨の折れる大変な作業かもしれません。しかし、この作業をおろそかにしたり、手を抜いたりすると、かえって、建設業許可取得が遠のく結果になりかねません。
10年の実務経験を証明する際の、書類の見せ方の工夫
10年の実務経験を証明する場合、見せ方がとても重要になります。前述したように、「出せるものはすべて出す」という感覚は、やめた方がよいです。都庁の審査担当者も人間です。ストレスなくスムーズに審査できる方が、余分な突っ込みを受けることなく、お互いに嫌な思いをすることなく申請を終わらせることができます。
そのため、行政書士法人スマートサイドでは、以下のような見せ方の工夫をしています。
1.関係ないものは、見せない
先ほども書きましたが、「出せるものはすべて出す」「なんでもかんでも持っていく」という申請の仕方は、スマートさに欠けます。審査担当者が見たいのは、「業種内容が明確に分かる」「契約書や請求書など」です。
提出する書類の中に、「申請業種とは異なる工事の書類」「物品の販売」「点検や保守など工事とは関係ないもの」が含まれていないか確認しましょう。
例えば「内装工事」の許可を取得したいのに「外壁塗装」の請求書が紛れ込んでいたり、「電気工事」の許可を取得したいのに「電気部品の販売」の請求書が紛れ込んでいたり、「管工事」の許可を取得したいのに「冷房設備の保守・点検」の請求書が紛れ込んでいたすると、実務経験としてカウントされません。
2.月ごとに番号を振って順番に並べよう
10年の実務経験を証明するには、少なくとも120枚以上の請求書が必要になります(現在では40枚以上)。順不同で、番号もふらずに、ばらばらにして持って行っても、「どの請求書に対する入金か?」わかりませんね。
すくなくとも請求書を古い順にならべ、NO1~120まで附番したうえで、通帳と突合できるように、請求書に合わせて入金部分にも番号を振っておきましょう。
3.どの請求書の請求に対する入金であるか?わかるように準備
「審査の場で、通帳の入金箇所を探している方」をよく見かけます。はっきり言ってセンスがないです。都庁の審査の場では、請求に対する入金を通帳の原本を使って1件1件確認していきます。
「5月15日に請求した45万円の工事の入金はここ。」
「6月30日に請求した80万円の工事の入金はここ。」
といったように、入金部分(通帳原本)を指し示しながら、実務経験を証明していきます。申請の場で入金箇所を探しているようでは、審査担当者にとってもストレスです。
事前に請求に対する入金部分がわかるように、鉛筆でチェックをするなり、付箋を貼っておくなりして、準備をすることが必要です。
4.実務経験期間確認表
最近では、「経営経験・実務経験確認表」を使って、実務経験を証明するように指定を受けています。「経営経験・実務経験確認表」の記載については、手引きを確認するしかありませんが、東京都が「提出の仕方」「書類の書き方」を細かく指定しているので、実務経験の証明をして建設業許可を取得したいという場合には、ぜひチェックしてみてください。
5.審査担当者にストレスのないような見せ方を!
建設業許可の申請が通るか通らないか?審査する側も人間です。当たり前ですが、限られた時間のなかで、手際よくスムーズに審査を終らせたいと思うのが、人の情というものです。そこで、弊所では、審査担当者にいかにストレスなく見てもらうかといった工夫を、常に心がけています。
請求書の記載がいい加減で、順番もばらばら、入金箇所もわからない、請求書と通帳の金額の突合作業に時間がかかる…ではどうしようもないですね。
10年実務の証明にチャレンジする方は、ぜひ、上記のことを参考にしてみてください。
無事許可取得!!
前任者さんの失敗を受けて、弊所で申請した結果、建設業許可を取得できたことは、言うまでもありません。
コツさえわかれば、10年実務で建設業許可を取得するのは簡単!
本事案は、前任行政書士さんの書類の作り方のどこが悪かったのか?なぜ、申請を諦めざるを得なかったのか?という点の検証から入った事案でした。
もちろん、事業者さんに問題があって、許可を取得できないパターンもあります(取締役として5年の期間が足りない、専任技術者の要件をどうしても満たしていないなど)。しかし、この事案の事業者さんについては、許可を取得できない理由が全く見当たりませんでした。
- 取締役としての5年の経験を満たしていること
- 10年以上実務を経験していること
- 上記10年間の実務経験を請求書と通帳で証明できること
- 上記10年間の常勤性を確定申告書と健康保険証から証明できること
- 自宅兼事務所でも住居部分と営業所部分が明確に分かれていること
どれも、許可要件に問題は、ありません。
では、前任行政書士さんは、なぜ、申請をこじらせてしまったのでしょうか?理由は様々あると思いますが、ひとえに経験の違いではないでしょうか?
10年の実務経験の証明を何回もやっている弊所のような事務所であれば、東京都庁の審査担当者が、「どこを見てくるのか」「何をチェックしているのか」「証明資料として何が有効なのか」を判断することができます。
しかし、「10年の実務経験の証明をやったことがない行政書士」とか「東京都の申請になれていない行政書士」では、手引きに記載されている程度のことはわかったとしても、手引きに記載されていないノウハウについては、分かりようがないですね。この事案の前任行政書士さんも、東京都の10年の実務経験の証明になれていなかったのかもしれません。
行政書士法人スマートサイドでは、他の事務所がやってできなかった案件でも、受任し申請を通すことが可能です。
10年の実務経験の証明でお困りの方は、ぜひ、行政書士法人スマートサイドまでご連絡をください。